デイリーマーケットコメントーパウエル議長の利下げ示唆で米ドル安、米株価最高値更新

投稿日: 2019年7月11日午前7時37分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • パウエル議長の議会証言とFOMC議事録で利下げ観測上昇
  • パウエル議長の発言で、米雇用統計の強い結果による上昇から米ドル下落
  • ユーロ回復、ECB議事録に注目;ポンドとカナダドル上昇
  • 米株価最高値更新、ビットコインは下落

パウエル議長の議会証言は7月利下げ示唆

昨日、パウエル議長が7月FOMC会合での利下げを示唆した為、市場は上昇傾向となりました。一日目の議会証言では、パウエル議長は、「貿易摩擦を巡る不確実性と世界経済への懸念が引き続き米経済への重しとなっている」と述べました。6月のFOMC政策会合では、多数のFOMCメンバーが利上げ支持の姿勢を示しました。6月の政策会合時よりも、不確実性が強まっていることも、7月利下げ観測を押し上げる要因となっています。

パウエル議長の議会証言の数時間後に発表されたFOMC議事録も、FRBにより利下げ観測を一段と上昇させました。しかしながら、議事録では複数のFOMCメンバーが利下げを支持しなかったことが明らかになっています。したがって、米経済の深刻な減速を示す十分な材料が揃わない限り、大幅な利下げには踏み切らない可能性があります。

米ドル一段安、ECB議事録控えユーロ上昇

パウエル議長の全体的にハト派的姿勢は、今月の0.50%の利下げの可能性を上昇させました。議会証言前には0%近くだった0.50%の利下げの可能性は、議会証言後には25%まで上昇させました。

先週金曜日の米雇用統計の強い結果を受けて、FF金利先物は国債を上昇させ、利回りと米ドルを押し下げました。今週前半に3週ぶり高水準まで上昇した米ドルインデックスは、97の水準を割り込みました。ドル/円は約100ピップス下落し、直近では108円台を僅かに上回る水準で推移していました。

米ドル安の流れは、利下げ観測により下落基調となっていたユーロを押し下げました。GMT1130には、6月ECB政策会合での議事録が発表されます。利下げの可能性を見極める為、市場は議事録の内容に注目するでしょう。

GMT1400には、パウエル議長は上院金融委員会で証言します。昨日の議会証言と同様の内容になる模様です。しかしながら、GMT1230には、米6月消費者物価指数も発表される為、米ドルの値動きは注視されるでしょう。

ポンドとカナダドル上昇

米ドルの下落により、ポンド/ドルは1.25ドル台を超えました。英5月GDPと英5月鉱工業生産の比較的堅調な結果もポンドを押し上げる要因となりました。しかしながら、英経済減速の見通し、及びEU離脱の不透明感により、ポンド高継続は困難となるでしょう。

カナダ中央銀行が、世界貿易摩擦によるリスクに懸念を示したにも関わらず、カナダドルは対米ドルで先週に記録した8週ぶり高値に向けて上昇しました。更に、カナダ中央銀行は、カナダ経済の最近の改善は一過性にすぎないと見解を示しました。しかしながら、カナダ中央銀行のより慎重な姿勢よりも、米利下げ観測が市場では材料視され、カナダドルは対米ドルで最高値を試す展開となっています。

株価上昇、ビットコイン下落

パウエル議長による利下げ示唆は、株価を上昇させました。S&P500は、一時、史上初めて3000の大台に乗り、2993.07で昨日の取引を終えました。国債利回り低下を受けて、ゴールドも上昇幅を拡大せ、1400台越えを達成しました。

パウエル議長の議会証言で、予想外に下落したのはビットコインでした。パウエル議長は、フェイスブックの仮想通貨「リブラ」計画について、資金洗浄等の懸念に徹底的に対応しない限り、「先には進めない」と述べました。

リブラの導入は、ビットコイン等の仮想通貨の需要増加と見なされていました。そのため、パウエル議長の発言を受けて、ビットコインは14%以上下落しました。