デイリーコメント ―トランプ大統領の発言転換で米ドルは再び圧力下に

投稿日: 2025年4月24日19時01分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• トランプ大統領は再び関税について不透明な姿勢を示す
• リスク選好度が後退、米株価は上げ幅を縮小
• 本日の米経済指標と米国債入札に注目
• ゴールドも原油も足場固めに苦戦

トランプ大統領が引き続き市場の動きを左右

第2次トランプ政権が始まってまだ100日も経っていませんが、市場は、最も恐ろしいテーマパークで、トランプ大統領が操縦する永遠に続くジェットコースターに乗っているように感じています。恐ろしい一週間を経て、ここ2日間セッションでは、米国株と米ドルはリスク選好の改善から上昇基調にある一方で、ゴールドは昨日、時価価格で過去最大の下落を記録しました。

しかしながら、トランプ氏が昨夜も再び発言を強めたため、この前向きなセンチメントは長続きしそうにありません。米貿易代表らは外国の貿易担当大臣との14回の会談を予定しており、山積みの未解決問題のいくつかを解決する準備を進めているとの期待があるものの、市場はギリシャ神話の英雄ヘラクレスがレルネのヒュドラを退治しているような困難に立ち向かっている気分のようです。

より具体的には、昨夜、自動車メーカーに対する関税免除が検討されているとの報道がありました。しかし、トランプ大統領はこれらの報道を即座に否定し、カナダからの自動車に対する25%の関税をより引き上げる可能性を強調し、これは場合によっては月曜日に控えたカナダの総選挙にもある程度影響を及ぼすものです。さらに困ったことに、米政権はトラック輸入に関する新たな見直しについても指摘しています。

中国との取引でのトランプ大統領の真意はいかに

さらに重要なのは、トランプ大統領が引き続き中国に焦点を置いていることです。双方の関税率が3桁台に達している中、トランプ大統領は両国にとって利益となる取引に真摯な姿勢を示しているように見えます。トランプ大統領が支持率の急落を気にしていることからの動きだという見方もあれば、トランプ政権の最側近らやビジネス関係者の両方からの圧力を受けて市場のムードを好転させようとしているのだと見る向きもあります。

しかし同時に、中国がすぐに交渉の場に着かない限り、今後2週間から3週間のうちに中国からの輸入品に対する関税を引き上げる可能性があるとのほとんど脅しとも取れる発言をしました。

しかし、中国側は強硬姿勢を貫いています。先に折れた方がより大きな譲歩を強いられることになるため、全体的な状況から判断すると、トランプ大統領は習主席よりも立場が弱く感じているかもしれません。最新のS&Pグローバル社のPMI速報値はまちまちの結果となり、製造業PMIは依然として50の境界線を上回ったものの、サービス業PMIは急落しました。

同様に、FRBが発表した直近の地区連銀景況報告(ベージュブック)も、関税をめぐる経済先行きへの不安が高まり、いくつかの地区で景気見通しが大幅に悪化したため楽観できる内容ではありませんでした。現実的に、企業は投資計画の見直しや延期を始めており、これは恐らくトランプ大統領の狙いとは真逆の展開でしょう。

本日の米経済指標と米7年債入札に注目

こうした中、3月の米耐久財受注が12:30(GMT)に発表されます。総合指数は2%増と予想されますが、輸送を除いたコア耐久財受注は下振れサプライズとなる可能性があります。

同様に重要なのは、米国財務省が本日440億ドルの7年債を入札することです。今週行われた2年債と5年債の入札はいずれも低調であり、中国を中心とする間接的な投資家からの需要が減少したため、国内の投資家がその分を補う形でより多くの割合を保有することを余儀なくされました。

本日のゴールドと原油は回復、ビットコインは9万2000ドル台を維持

ここ2回のセッションでゴールドが200ドル下落したことは、最近の急激な上昇を考えれば驚くことではなく、現在ゴールドは3,320ドル付近で推移しています。一方で、ビットコインの上昇は一部の市場参加者の意表を突きました。リスク選好の改善が続いた中でビットコインは一気に1万ドル上昇し、現在はその直近の上昇分を維持しようとしています。

最後に、原油は本日小幅上昇をしており、これは、OPECプラスが昨日、自ら墓穴を掘ったともいえる報道を受けた後の回復です。OPECプラスの複数の加盟が、6月に原油生産の一段拡大の承認を求めているとの報道は、市場にとって軽く受けとめられるものではありませんでした。これは世界経済が減速する中で、原油需要が低下しているにもかかわらず供給を増やすというのは、逆効果に思えるからでしょう。