デイリーコメントー関税への懸念緩和でリスクセンチメント向上

投稿日: 2025年4月25日18時41分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・中国が米製品への一部関税適用除外検討で米ドル反発
・米利下げ観測からは景気後退への懸念が根強いことが明らかに
・東京のCPI指数は急速で日銀の利上げ観測高まる
・貿易摩擦緩和で米株価上昇、ハイテク株が上昇

中国が一部の米製品の関税適用除外検討との報道

投資家はトランプ大統領の一挙手一投足に注目しており、ジェットコースタースタイルの取引が続いています。昨日の米ドルは、全ての主要通貨に対して下落しましたが、本日は反発して、特に他の安全資産である日本円とスイスフランに対して最も上昇しています。

昨日の米ドル下落は、中国が米国との貿易協議は行われていないとし、米国が本格的に共通の基盤を確保したいのであれば、全ての一方的な関税を解除するように求めた後に再開しました。

しかし、トランプ大統領は、中国側の協議相手は明確にしなかったものの、会談が進んでいると主張し、本日のアジアセッション中に、中国政府が米国からの医薬機器や一部の産業用化学品への関税免除を検討しているとの報道がありました。

依然として景気後退への懸念

この報道は、投資家間である程度の安堵感に繋がり、米ドル反発の要因となったことから、米ドルは4週間の下落トレンドから初めてプラスの週に向かっています。しかし、FF金利先物によると、市場は依然として経済の見通しと年内の景気後退の可能性に懸念を抱いているようです。市場は現在、年内の合計利下げ幅を0.85%相当に織り込んでいます。

結局のところ、トランプ大統領はいかに予測不可能かを既に証明済みです。したがって、いつ何時、事態が再び悪化しかねず、金融市場には新たな不安の波が押し寄せる可能性があります。

現在進行中の韓国と日本による米国との協議が、中国との交渉がいかに円滑に行われるかの試金石として機能する可能性があります。韓国の代表は、すでに追加関税の延期期限が切れる前に合意に達することを目標としていると述べています。日本側との交渉も進展しており、日本の財務相も為替水準の話はないと言及しました。今月初めには、トランプ大統領は日本が輸出企業に優位になるべく、円安を進めてきたと非難しました。

したがって、貿易相手国との協議がスムーズに合意に達すると市場が判断する場合、リスクセンチメントはさらに改善され、米ドルが引き続き上昇する可能性があります。しかし、米国との交渉が、主要な同盟国である日本でさえ困難となる場合は、その逆の効果となるかもれません。

本日の東京のCPI指数は急速、日銀の利上げ観測高まる

日本と言えば、安全資産への資金流入からの恩恵だけでなく、日銀が年末までに再度利上げを行うとの観測が高まっていることから、本日は円高となっています。

植田総裁が昨日、米関税が日本経済に与える影響について、十分に精査する必要があるものの、日銀は引き続き利上げを行っていくと言及しました。本日、東京の消費者物価(CPI)指数が急速したことからも、この見解はさらに重要性を増しました。現在、日本でのオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)によると、市場は12月までに、さらに0.25%の利上げが行われる確率は72%と高く維持されています。

リスクオンの環境下、ハイテク株上昇で米株式市場も上昇

米中間の貿易摩擦が緩和されるとの期待から、特にハイテク株が多いナスダックが3%近くも上昇するなど、米株価は続伸しました。AIを搭載したソフトウェアを提供するサービスナウ社の決算報告が予想を上回ったことから、特にハイテク大手である「マグニフィセント7」の株価が後押しされました。サービスナウ社は、企業の業務やサービスを自動化して作成、管理するクラウドプラットフォームを提供しています。

S&P500では、157社が既に第1四半期の決算報告を終了し、そのうち74%がアナリストの予想を上回っており、投資家がさらにリスク資産を増やす契機にもなっています。