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• パウエル議長の予想以上にハト派的な発言で米ドル下落
• トランプ減税・歳出法案が上院通過、下院での最終投票を待つ
• JOLT求人件数と米ISM製造業PMIはやや上昇
• 米株式市場は上昇トレンド一服、ゴールドは反発
パウエル議長、7月の利下げを否定せず
昨日、米ドルは1つの通貨を除くすべての主要通貨に対して下落幅を拡大しました。これは、おそらくポルトガルのシントラで開催された年次ECBフォーラムのにおいて、パウエルFRB議長が予想よりもハト派的な姿勢を見せたことが原因と考えられます。
パウエル議長は、追加の利下げに関して当局は慎重な姿勢を維持するとの見解を改めて繰り返しましたが、7月会合での利下げの可能性を否定せず、この判断は今後の米経済指標次第であると付け加えました。これにより、投資家は年末までに0.65%相当の利下げを織り込み続けており、次回の0.25%の利下げが7月に実施される確率は20%と予想しています。
数週間前まで7月の利下げの確率は0%でしたが、トランプ大統領がパウエル議長に対し、利下げのタイミングが遅すぎると継続的に批判していることや、数人の政策当局者らが7月の利下げを支持する意向を示したことが、市場参加者の予想を再考させる要因となったようです。
おそらくトランプ大統領が利下げを強く求めている理由の一つは、米政府による債務返済の負担が軽くなるためかもしれません。トランプ政権の減税・歳出法案によって、国家債務を3兆ドル以上の増加すると見積もられていることを忘れてはなりません。この法案は昨日上院を通過し、下院にて最終承認のための採決が行われる予定です。
米経済指標は改善、ユーロ圏のインフレ率はECBの目標を達成
昨日のデータでは、5月のJOLTS求人件数が予想を上回り、6月の米ISM製造業PMIは縮小域にとどまったものの、やや改善しました。このため、木曜日に発表される公式の米雇用統計とISM非製造業PMIの重要性が一段と高まっています。これらの結果が堅調であれば、7月の利下げの可能性が後退し、それにより米ドルが多少回復する余地があるかもしれません。本日はADP社による米民間雇用統計が発表される予定です。
ユーロ圏の消費者物価指数の速報値も昨日発表されました。総合インフレ率は上昇し、ECBの目標である2%に達しましたが、一方で、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年比2.4%で横ばいとなりました。これにより、市場はECBが現在の利下げサイクルの中で、あと1回0.25%の追加利下げを行うとの見方を維持しています。しかし、その実施時期については、以前は12月までと予想されていたのに対し、現在では2026年2月になると予想されています。
ユーロは引き続き米ドル安の恩恵を受け、ユーロ/ドルは昨日、ほぼ4年ぶりの高値を更新しました。この通貨ペアの上昇トレンドは非常に強く見えるため、明日発表される米国の経済指標が好調となった場合、ユーロが反落するとしても、この上昇トレンドを根本的に変える可能性は低いでしょう。
米株価は下落も、上昇トレンドは維持、ゴールドは反発
米株式市場は、昨日の取引でナスダックとS&P500が下落して取引を終えた一方、ダウ平均は約1%の上昇となりました。しかし、米先物は本日反発を示しており、S&P500は再び過去最高値を更新する可能性があります。株価の一時的な調整は、トランプ大統領が、各国との貿易協定交渉の期限である7月9日の延長を考えていないと発言したことを受けた、貿易関連の懸念によるものかもしれません。これはつまり、この期限後に関税の引き上げが実施される可能性があることを意味します。とはいえ、現時点では利下げ期待が投資家にリスク資産への投資を継続させているようです。
ゴールドは昨日、上昇幅を拡大しました。しかし、他の資産クラスの動向から判断すると、これは安全資産への資金流入によるものではなく、むしろ米ドル安と利下げ期待が背景にあります。結局のところ、FRBの利下げ観測が高まることで、利子が発生しないゴールドを保有する際の機会コストの低下を意味します。