デイリーマーケットコメントーG20控え慎重、且つ楽観的観測、米ドルは3か月ぶり安値

投稿日: 2019年6月24日18時29分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • G20サミットでの米中首脳会談に注目
  • 米中通商協議での進展への慎重な期待で、本日の株価上昇
  • しかしながら、米国とイランの関係悪化の継続でリスクオフムードに
  • FRBによる利下げ示唆で、米ドル安継続

G20サミットでの米中通商協議再開への期待上昇

6月28日から29日のG20サミットにおいて、トランプ大統領と習国家主席が5月上旬以来停止していた通商協議を再開させるとの期待が高まる中、今週はスタートしました。アジア株式市場は、ほぼ全面高となりました。米国とユーロ圏主要株価先物指数は、緩やかに上昇してのオープンを示しています。先週にFRBが利下げを示唆した後に最高値を更新したS&P500は、0.3%上昇してオープンする模様です。

本日、中国の商務次官は、米中両国は通商協議で前向きな姿勢を示すべきとの見解を表明しました。しかしながら、先週金曜日には、米商務省が複数の中国企業を「エンティティ・リスト」に追加したばかりです。「エンティティ・リスト」に載せられた企業は、米政府の承認がないと米国の部品を購入できません。米国側に措置に対抗して、中国側は「信頼できないエンティティリスト」にフェデックスを追加し、貿易摩擦が一段と悪化する可能性も浮上しました。したがって、今週の米中首脳会談での大きな進展はあまり期待できないでしょう。

米国とイランの関係悪化の継続

先週、トランプ大統領はイランへの軍事攻撃をキャンセルしました。しかしながら、原油タンクへの攻撃に対抗して、米政府は本日にもイランに追加制裁を科する予定です。したがって、イラン情勢は依然として緊迫した状況が継続しています。トランプ大統領は、イラン側が協議に応じない場合、イランは今までにない状況に陥ることになると警告しました。これにより、現在の所、軍事衝突は回避されましたが、米国による軍事攻撃の可能性も依然として残されている模様です。

イラン情勢の緊迫化により、WTI原油先物とブレント原油先物は3週間以上ぶりの高値まで上昇しました。主要国の中央銀行が利下げを示唆し、世界的な原油需要回復の期待が上昇したことも、原油価格を押し上げる要因となりました。

同時に、地政学リスク上昇、及び国債利回り低下を受けて、ゴールドも急騰しました。先週金曜日のゴールドは、6年ぶり高値まで値を切り上げました。本日もゴールドは1400ドル台を維持して推移しています。

FRBのハト派的見解で、米ドル下落

地政学リスクの上昇、及びFRBのハト派寄り見解は、米ドルによってあまり良いニュースではありません。米ドルは、対主要通貨で3か月ぶり安値まで急落しました。市場では、7月利下げ観測が既に織り込み済みとなっています。今週後半に発表されるPCEデフレーターは、今後数週間のFRBの動きを見極める為に、注視されるでしょう。

本日のドル/円は、先週金曜日に記録した5月半ぶり安値107.04円を若干上回る水準で推移していました。一方で、ユーロ/ドルは、3か月ぶり高値1.1389ドルまで急騰しました。物価上昇圧力が脆弱なままの場合、ECBが追加緩和の用意があることを示唆したにも関わらず、金曜日に発表されたユーロ圏PMIの予想外に好調な結果がユーロを押し上げました。これにより、今週後半に発表されるユーロ圏6月消費者物価指数がより注目を集めることになります。

米ドル安の流れを受けてポンドも上昇し、ポンド/ドルは1.27ドル越えを達成しました。しかしながら、ボリス・ジョンソン氏が次期党首として最有力候補となっている為、ポンド上昇の継続は不透明となっています。

追加利下げ観測にも関わらず、豪ドルとNZドルも上昇しました。今週水曜日には、ニュージーランド準備銀行の政策会合が予定されており、政策金利の据え置きが予想されていますが、追加利下げが示唆される可能性もあります。先週に追加利下げの必要性を示唆したばかりのオーストラリア準備銀行のロウ総裁は、本日には緩和政策の有効性について討議する予定です。したがって、オーストラリア準備銀行の方向性は依然として不透明です。