デイリーマーケットコメントーG20での貿易問題解決への期待後退でリスクオフ、FRB議長の発言に注目

投稿日: 2019年6月25日18時13分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • G20での貿易問題解決への期待後退により、リスクオフに
  • 米国の追加制裁を受けて、イラン情勢が一段と緊迫化
  • 米ドルは一段安、ユーロドルは3か月ぶり高値で14ドル台越え
  • パウエル議長や他のFRBメンバーの発言に注目

G20を控え、貿易問題への懸念でリスクオフに

昨日、米政府高官が、トランプ大統領は今週の米中首脳会談が「どのような結果になっても満足」であると述べた為、貿易問題での相違点解決への期待が後退しました。

米中首脳会談への期待が高まる一方で、米中通商協議での合意は不透明な為、本日の市場ではリスク資産が下落しました。市場は、米中首脳会談の結果が出るまで、様子見姿勢を維持する模様です。

本日、中国CSI300の終値は0.9%下落しました。米国とユーロ圏株価先物指数によると、米国とユーロ圏の株式市場は、0.25%から0.50%下落してスタートする模様です。一方で、安全資産のゴールドは、リスクオフの流れと地政学リスクにより、6年ぶり高値1483.63ドルを更新しました。

米国が対イランの追加制裁公表

昨日、米国が対イラン追加制裁を公表したことも、ゴールドの上昇要因となりました。今回の追加制裁では、イランの最高指導者ハメネイ師も対象となっています。米国がイランに科すことができる制裁は殆ど残っていないことから、今回の追加制裁は、イランに交渉を再開させる形式的な動きに過ぎないとの見方が市場では広がっています。

リスクオフの流れを受けて、ゴールドに加え、円とスイスフランも特に対米ドルで上昇しました。米ドルは、7月利下げ観測の上昇により、下落基調が継続しています。ドル/円は5か月半ぶり安値106.77円まで、ドル/スイスフランは9か月ぶり安値0.9691スイスフランまで急落しました。

米ドル安の流れにより、ユーロとポンドも対米ドルで上昇しました。現在、ユーロ/ドルは3か月ぶり高値の1.14ドル台を維持し、ポンド/ドルは1.2750ドル付近を目指す展開となっています。ユーロ圏と英国の経済見通しは、米国の経済見通し程は明るくはないものの、ECBによる利下げ幅はFRBほど大きくならない模様です。イングランド銀行は利上げ支持の見解を維持しています。したがって、ユーロとポンドは対米ドルでの上昇を維持しています。

7月利下げ観測上昇;パウエル議長の発言に注目

米利下げ観測が上昇する中、市場は7月利下げ観測の手掛かりを探る為に、本日のFRBメンバーの発言に注目するでしょう。本日、アトランタ連銀のボスティック総裁、セントルイス連銀のブラード総裁、及びニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言が予定されています。しかしながら、最も注目されるのは、GMT1700に予定されているパウエル議長の発言になるでしょう。

FF金利先物によると、7月政策会合時の0.50%の利下げの可能性が69%になっています。FRBが市場予想ほどの利下げに踏み切らない場合は、米ドルと国債の値動き調整の可能性が浮上するでしょう。