デイリーマーケットコメントーパウエル議長が7月利下げを示唆せず、米ドル回復

投稿日: 2019年6月26日18時39分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • パウエル議長の発言で、大幅な利下げの可能性は後退
  • 市場での7月の25%の利下げ予測で、米ドルは緩やかに回復
  • 今週の最大の注目はG20サミット、しかしながら、貿易問題合意の可能性は低い模様

パウエル議長は、FRBは利下げを討議中と発言

昨日、パウエル議長が7月利下げが確定ではないことを示唆した為、市場は利下げ観測を再評価することになりました。

パウエル議長は、「不確実性が引き続き見通しを圧迫し、FRBは追加緩和の必要性について討議している」と述べました。更に、パウエル議長は、多数のFOMCメンバーは利下げ材料が揃っていることを認識しているものの、経済指標結果や一過性の要因による影響に先走っての緩和は望んでいないことも示唆しました。

パウエル議長の発言を受けて、ドル高が進み、ドル/円は107円台を超えました。一方で、ユーロ/ドルは1.14ドル台を割り込みました。米ドルインデックスは、5か月半ぶりの低水準から96.25付近まで回復しました。

テクニカル上の調整の動きが米ドルを押し上げたことや、債券市場や先物市場の反応が限定的だったことから、米ドルの回復はやや誇張されたようです。米国債利回りは僅かに上昇したに過ぎず、より重要なことは、市場では0.25%の利下げが依然として織り込み済みであるということです。

大幅な利下げの可能性は後退

パウエル議長は0.50%の利下げ観測を後退させたかもしれませんが、市場は依然として0.25%の利下げを予想しています。0.50%の利下げの可能性は、昨日の40%から22%まで急落しました。

FOMCメンバーの中でも、最もハト派的メンバーの一人として見なされているセントルイス連銀のブラード総裁が、昨日のブルームバーグでのインタビューにおいて「現時点で、0.50%の利下げは正当化されない」と述べたことは注目に値します。

昨日に発表された米経済指標の脆弱な結果は、米経済が想定よりも早くに減速しているとの見方を裏付けています。米6月消費者信頼感指数は予想外に低下し、米5月新築住宅販売件数は急落しました。

パウエル議長は、最近数週間において、世界経済の下振れリスクに大幅な変更があったとの見解を示しました。米中貿易合意の不確実性上昇、及びイラン情勢の緊迫化により、円、スイスフラン、及びゴールド等の安全資産は、本日には利益確定の動きで若干下落したものの、今後数週間は需要が高い状態が継続するでしょう。

G20での貿易合意の可能性後退、及びイラン情勢でリスクオフの流れ

今週のG20サミットでの米中首脳会談の準備が、米国と中国の双方で進められています。米国側は、関税に条件を設けることには応じない姿勢を明らかにしています。しかしながら、米国と中国が少なくとも追加関税の発動は見送り、協議を再開させることに市場は期待しています。

市場がG20サミットに注目する中、本日には米5月耐久財受注が発表されます。金曜日には、米5月PCEデフレーターが発表され、米経済見通しを見極める為に、市場が注目するでしょう。

NZ中銀の追加利下げ示唆にも拘らず、NZドル上昇

ニュージーランド準備銀行による追加利下げの示唆にも関わらず、本日のNZドルは上昇しました。本日、ニュージーランド準備銀行は政策金利の据え置きを決定したものの、追加利下げの余地があることも示唆しました。

しかしながら、米利下げ観測がニュージーランドの利下げ観測よりも上回った為、NZドルは対米ドルで2週ぶり高値を更新し、0.6650ドル台を超えました。

GMT0915には、イングランド銀行のカーニー総裁の議会証言は予定されています。カーニー総裁は、利上げ政策維持の方針を改めて表明する模様です。次期首相として最有力視されているボリス・ジョンソン氏が、10月31日に「合意なき離脱」の可能性があることを改めて表明しました。これにより、本日のポンドは下落しました。