デイリーマーケットコメントーG20控えリスクオン回復、米ドル上昇

投稿日: 2019年6月27日18時30分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米中首脳会談控え、 市場は慎重姿勢を維持しつつ、期待も上昇
  • 米国と中国による貿易戦争の一時休戦報道で、リスクオン回復
  • G20を控えた様子見ムードの中、米ドルは上昇、他の主要通貨はレンジ相場

米中首脳会談への期待で、リスクオンムード回復

G20サミット中の米中首脳会談を今週土曜日に控え、米中両政府が貿易戦争の一時休戦に暫定合意したことを香港紙が報じました。このニュースを受けて、市場のリスクムードが改善しました。

合意内容には、米国が中国からの輸入品への追加関税を延期することも織り込まれています。しかしながら、中国政府は合意に関する報道内容を認めていません。昨日のメディアインタビューでは、トランプ大統領は、合意に達しない場合は、追加関税が課されていない残りの3250億ドル相当の中国からの輸入品に追加関税を課す姿勢を明らかにしました。

G20サミットを間近に控え、全体として、米国と中国はより前向きな姿勢を示しつつあります。トランプ大統領は、首脳会談での合意の可能性は「大いにありえる」とも発言しています。

米ドルは回復し、対円で108円を試す展開となり、他の主要通貨に対しては、約1週ぶり高値まで上昇しました。株式市場も上昇しました。日経平均株価の終値は1.2%上昇し、S&P500の先物指数は0.5%上昇してのオープンを示しています。

大幅な米利下げ観測後退

7月のFOMC会合で、0.50%の利下げよりも、0.25%の利下げの可能性が高まったことも、米ドル回復の要因となりました。今週、パウエルFRB議長が大幅な利下げを支持しない方針を示唆したことにより、米ドルの方向性が若干調整されました。

リスクオフの流れが後退したことにより、米ドルは特に円やスイスフラン等の安全資産に対してより顕著に回復しました。ゴールドも、少なくとも短期的には、上昇が一服した模様です。本日のゴールドは、1400ドル台目前まで上昇したものの、今週前半に記録した6年ぶり高値付近でとどまりました。

ユーロ、カナダドル、豪ドル、及びNZドル等の主要通貨は、最近の上昇幅を殆ど維持しています。唯一の例外は、ポンドです。次期首相候補が合意なき離脱の可能性を示唆した為、ポンドの下落圧力が強まり、対米ドルで1.27ドル台を割り込みました。

米ドル回復にも関わらず、カナダドル、豪ドル、及びNZドル上昇

FRBが今後数カ月内での大幅な利下げに疑問を呈した後にも関わらず、豪ドル、NZドル、及びカナダドル等のコモディティ通貨は、上昇幅を拡大させました。オーストラリア準備銀行とニュージーランド準備銀行は、追加利下げの可能性を明らかにしています。しかしながら、米国の方が利下げ幅の余地が大きいことから、オーストラリアやニュージーランドの国債利回りよりも、米国債利回りの方が下げ幅の余地も大きくなります。

一方のカナダは、利下げ観測が後退し、経済回復の兆しにより、利上げの可能性も浮上している為、カナダドルは堅調推移しています。原油価格上昇も、カナダドル高の要因となっています。昨日に発表された米原油在庫が予想外に低下した為、WTI原油先物とブレント原油先物は大幅に上昇しました。7月1日から2日にかけてのOPEC政策会合を控え、市場は様子見ムードとなり、原油価格は下落に転じました。