デイリーマーケットコメントー米中休戦合意、株価と米ドル上昇

投稿日: 2019年7月1日18時25分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米中休戦合意で株価と米ドル上昇、安全資産は下落
  • 米中通商協議再開とOPECの減産期間延長予測で、原油価格上昇
  • ISM製造業PMIは米利下げ観測に影響

米中通商協議再開で、リスクオンムードに

先週末の米中首脳会談では、両国が通商協議を再開し、当面の間は追加関税を見送ることで合意しました。特に注目されたのは、米国が対ハーウェイへの制裁を一部撤回することで、中国に通商協議再開を合意させたことです。

市場の反応は、典型的なリスクオンの動きとなりました。米主要株価先物指数は、最大1.0%上昇してのオープンを示しています。S&P500、及びダウ平均株価は、最高値を更新する可能性があります。株価の他には、通商協議再開は今後数カ月内の米利下げ観測を後退させる為、米ドルも上昇しました。反対に、円やゴールド等の安全資産は下落しました。

総じて、通商協議再開は合意向けての前進であることは明らかであり、大局的な流れには殆ど変化はありません。知的財産の保護、及び技術移転等の重要課題において、米国と中国の見解に依然として大きな隔たりがあります。したがって、合意への道のりは、依然として長く険しい模様です。

今回の米中休戦は、リスクオンと米ドル高の流れを数日間は維持させるでしょう。しかしながら、米中休戦が、過去数週間に市場で形成された円高等の大きな流れを転換させることはないでしょう。

米中休戦で原油価格上昇、OPEC会合に注目

本日の原油相場は、上昇してオープンしました。週末の米中通商協議再開の決定により、原油需要の見通しが改善され、WTI原油先物は60ドル台越えを達成しました。ロシアとサウジアラビアがOPECの減産延長に合意し、供給見通しが改善したことも原油価格上昇の要因となりました。

ロシアのプーチン大統領は、サウジアラビアと減産の期間延長に合意し、おそらく6か月か9か月の延長となることを明らかにしました。市場の関心は、本日のウィーンで開催されるOPEC会合に向けられます。9か月の延長が決定された場合、原油価格を一段と押し上げる可能性があります。

製造業PMIに注目

本日の重要な経済指標は、英国と米国から発表されます。

英国では、英6月製造業PMIが発表されます。しかしながら、ポンドは経済指標よりも、政治情勢により反応するでしょう。したがって、市場の関心は、党首選挙、及び、2名の候補者によるEU離脱関連の発言に向けられるでしょう。

米国では、米6月ISM製造業景況指数が、7月のFOMC政策会合に発表される最も重要な指標になり、米ドルのリスク材料となるでしょう。米中通商協議再開により、米利下げ観測が後退し、50%の利下げの可能性は15%まで低下しました。米6月ISM製造業景況指数が好調な結果となった場合、米利下げ観測が一段と後退し、米ドル高の追い風となるでしょう。