デイリーマーケットコメントー米利下げ観測見直しで米ドル高、英経済指標待ちでポンド安

投稿日: 2019年7月9日18時16分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 市場が利下げの可能性を再評価し、米ドル上昇
  • 金融政策の方向性を見極める為、FOMC議事録とパウエル議長の議会証言に注目
  • 英経済鈍化が懸念される中、英経済指標発表を控え、ポンドは6か月ぶり安値

積極的な利下げ観測後退で、米ドル上昇

昨日、積極的な利下げ観測が後退したことにより、米ドルインデックスは3週間ぶり高水準に向けて上昇しました。先週金曜日の米雇用統計の強い結果を受けて、0.50%の利下げの可能性は20%から僅か2.5%まで低下しました。市場は今月のFOMC政策会合での利下げを完全に織り込んでいますが、複数のアナリストは今月の利下げ実施を疑問視しています。

積極的な利下げ観測上昇を背景に、リスク資産は6月から上昇基調を継続していました。しかしながら、利下げ観測が後退した為、世界の株価は下落しました。昨日の米株価は、下落して引けました。ナスダック指数は下落幅が最も大きく、0.8%値下がりしました。昨日、iphoneとipadの売上低下予測により、ローゼンブラッド・セキュリティーズがアップルの投資判断を「売り」に引き下げました。これにより、アップル株が2%下落し、ハイテク関連株も下落しました。

外国為替市場では、リスク通貨の豪ドルとNZドルが下げ幅を拡大させ、2週ぶり安値まで急落しました。しかしながら、安全資産の円も下落しました。円の下落要因は、日5月平均現金給与額の脆弱な結果が日銀による追加緩和拡大予測を上昇させたことでした。

今週は、FOMCメンバーの発言が多数予定

今週は、パウエル議長を手始めに、多数のFRBメンバーによる発言は控えています。GMT1245に、パウエル議長はボストン連銀主催のイベントで開会の挨拶を行う予定です。本日の講演では、パウエル議長が金融政策に言及するかは不透明です。しかしながら、明日から二日間の工程で予定されている議会証言では、パウエル議長が米経済と政策金利の見通しについて言及することは必須でしょう。

GMT1410にはセントルイス連銀のブラード総裁の発言、GMT1800にはアトランタ連銀のボスティック総裁とボストン連銀のクォールズ総裁の発言も控えています。

米7月利下げ観測を見極めるもう一つの機会は、水曜日に発表される6月のFOMC議事録になるでしょう。6月のFOMC政策会合では、FRBの見解がハト派寄りに移行しました。しかしながら、現時点では、FRBが大幅な利下げを示唆する可能性は低いでしょう。したがって、ECB等の他の中央銀行が今後の政策会合で利下げ実施を決定した場合、米ドルは上昇基調を継続するでしょう。

英経済指標発表を控え、ポンドは6か月ぶり安値

現在、ユーロの上値が重くなっている要因は利下げ観測です。ユーロ/ドルは1.12ドル台の維持が困難になっているようです。7月25日に予定されている次回のECB政策会合では、追加緩和の決定が予想されています。

ポンドも下落基調を継続し、本日には対米ドルで6か月ぶり安値1.2469ドルまで急落しました。第2四半期の英経済を見極める為、明日に発表される英5月GDP、及び英5月鉱工業生産は注視されるでしょう。英経済指標が脆弱な結果となった場合、イングランド銀行は金融政策の方向性の転換を余儀なくされる可能性があるでしょう。