デイリーマーケットコメントー米ドルは米雇用統計待ち、リスクオフの流れ復活

投稿日: 2019年11月1日19時13分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 本日の米ドル相場は、米雇用統計と米ISM製造業PMIの結果次第
  • 中国が重要問題への譲歩しないことが報じられ、リスクオフの流れ復活

米雇用統計は米ドルの一段安を阻止するか?

FRBが本当に利下げを休止するのかを市場が見極めようとする中、市場の関心は米10月雇用統計に向けられるでしょう。米10月ISM製造業PMIでは、米中貿易戦争の休止による改善が見られるかが注目されます。

米10月非農業部門雇用者数は、前月結果の13.6万人増を大きく下回る8.5万人増が予想されています。大幅な予想の低下は、GMでの今月のストの影響があります。ストライキ中の労働者は雇用としては計上されません。失業率は増加する模様です。一方で、平均時給は前月結果の前年比2.9%から前年比3.0%への改善が予想されています。

米雇用統計が脆弱な結果となったとしても、FRBが一過性要因による低下と見なす可能性があり、米ドルが急落することはないでしょう。したがって、FRBの政策への影響がないことから、脆弱な結果は緩やかな米ドル安に繋がるでしょう。一方、米雇用統計が強い結果になった場合は、米ドルが大きく上昇するでしょう。

GMT1700にはクラリダFRB副議長が発言予定で、GMT1830にはニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が発言予定です。

通商協議への懸念再浮上で、リスク回避の流れ復活

「第一段階の合意」の締結間近にもかかわらず、中国政府が米国との最終的な通商協議の合意に懐疑的な見解を示した為、昨日の市場はリスクオフの流れが再度強まりました。具体的には、中国政府はトランプ大統領の姿勢に懸念を持っているようです。第二段階の協議が米国側の思惑通りに進まなかった場合、トランプ大統領が「第一段階の合意」まで戻す可能性を中国側は危惧しているようです。更に、中国側が重要問題では譲歩しない可能性も報道されており、今後の膠着状態、或いは摩擦への展開も予想されます。

実際のところ、中国側は重要問題に譲歩する姿勢を見せたことはありません。第一段階の合意も、中国側からより譲歩する姿勢を引き出すことはできなかったようです。

総じて、最近の貿易戦争の休止は不安定な基盤の上に成り立っています。市場がス週間後に予定されている「第一段階の合意」に楽観的な見方を維持する一方で、実質的な合意は今までになく不確実になっています。

昨日の外国為替市場では、安全資産の円が上昇しました。一方で、貿易問題に反応する豪ドルは下落し、米株式市場も下落しました。本日の市場は落ち着きを取り戻し、豪ドルは回復し、米主要株価先物指数は上昇してのオープンを示しています。しかしながら、本日これからの市場の流れは本日の米経済指標結果次第になるでしょう。

本日の英10月製造業PMIにも市場の関心が若干集まりますが、市場の主な関心は英総選挙に向けられるでしょう。