デイリーマーケットコメントー感染拡大鈍化の兆しで、市場のムード改善

投稿日: 2020年4月6日18時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 欧州での感染拡大鈍化の兆しで、株価上昇、円は下落
  • 継続的な上昇、或いは下落相場での一時的な回復?
  • OPECプラスの協議延期で原油市場に注目

感染拡大ピークへの期待で、リスクムード改善

本日の世界市場は、先週よりも改善したムードでのスタートとなりました。日経平均株価は約4%上昇し、米主要株価先物指数も上昇してのオープンを示しています。欧州での新たな感染者数が減少し、厳しい閉鎖措置による効果が出てきたようです。イタリアでは、新たな感染者数と死亡者数が減少したことから、感染拡大がピークに達し、今後の状況改善が期待されています。

市場のリスクムード改善により、資金が安全資産からリスク資産に流れ、円が下落しました。

継続的な上昇、或いは下落相場での一時的な回復?

今回の流れは、上昇相場の始まりなのか、或いは、市場がポジティブなニュースに飛びついて、世界経済回復に期待しているのでしょうか?おそらく、今回の市場の流れは、楽観的観測による動きに過ぎないようです。

欧州では感染拡大スピードの鈍化が見られ、米国でさえも新しい感染者数の増加スピードに減速が見られることは事実です。しかしながら、依然として先行き不透明感が強く、閉鎖措置を取っている国での経済活動再開の時期は、未定です。市場にとって、経済活動の再開は最も重要です。現在の所、市場は冷静な反応を見せています。しかしながら、今後発表される経済指標において、失業率の急騰、及び企業収益の大幅な下方修正が明らかになると、今後数週間の市場が同様の冷静さを維持できるかは不明です。

したがって、市場にとっての最悪な状況はまだ終わってない可能性があります。例えば、株価が底を打ったと判断するには、時期尚早でしょう。本日のゴールドが緩やかに上昇しているかことから、株価が回復しても、市場の慎重姿勢とリスクヘッジが継続していることが示されています。

OPECプラスの協議延期で、原油価格下落

エネルギー市場に再度注目が集まりました。サウジアラビアとロシアが、本日開始予定だった減産協議を木曜日まで延長した為、本日の原油価格は下落してのオープンとなりました。サウジアラビアとロシアが先月の協議決裂についてお互いを非難した為、早期合意の期待は後退しました。

原油価格は下げ幅の殆どを回復させました。そのため、協議開始遅延が交渉決裂に繋がるとは見なしていないようです。

木曜日の協議が近づくにつれて、合意期待により、原油価格が上昇する可能性があります。カナダドル等も上昇するでしょう。

OPECとロシアは、米国等も参加する場合には、減産に前向きな姿勢を示しています。しかしながら、米国による減産協調は期待できないことから、市場は協議結果に落胆する可能性があります。減産が合意した場合でも、500万バレル以上の減産は期待できないでしょう。2000万から3000バレル程の需要が減少した原油市場では、500万バレルの減産はあまり効果がないでしょう。

したがって、協議結果に落胆した上では、「事実で売る」反応が見れる可能性があります。

先週金曜日に発表された米3月非農業部門雇用者数は、市場予想を大幅に下回ったものの、市場の反応は限定的でした。

本日これからは主要な経済指標の発表は予定されていませんが、明朝のオーストラリア準備銀行の政策発表は市場の注目を集めるでしょう。