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FRBによる大規模な救済策で、米ドル下落
昨日、FRBは、中小企業や地方政府を支援する為に、2兆3000億ドル規模の救済策を発表しました。本救済策では、従業員が1万人までの企業に対して、低金利の融資を提供し、今まで決定した新型コロナウイルス対策では、最も大規模な政策となります。
FRBは、ジャンク債と呼ばれる投機的格付けの一部の社債の購入を明らかにしました。ジャンク債の格付けが一段と引き下げられると、FRBは格付けリスクと負うことになります。数週間前には、予想できなかった異例の対応です。
FRBの刺激策は米企業を支援し、景気後退リスクを緩和させる為、米株式市場で好感され、S&P500の終値は1.45%上昇しました。更に、企業は自社株買いの資金枠の拡大が可能になります。
財政刺激策で市場は回復、しかしながら回復が継続するかに注目
S&P500は、2月前半以来の下落幅の半分を回復させ、テクニカル分析上で重要な分岐点に達しています。一段と上昇した場合、底値を打った可能性が強まります。
しかしながら、現在の回復が継続するかを判断することは困難でしょう。景気後退局面に突入したばかりで、FRBの刺激策は昨日の米週次新規失業保険申請の結果を凌ぐ大規模な政策ですが、非常に多数の米国民が短期間に失業したことは衝撃的でもあります。異例の財政刺激策が投入されているものの、過去3週間で、労働者全体の10%以上となる約1700万人もの米国民が失業しており、失業者数は増加を継続しています。
今後数年間は、消費や経済成長を落ち込む見通しですが、米株式市場は経済的影響を過小評価しているようです。翌週からスタートする米企業の四半期決算や、米企業による見通しの下方修正は、株式市場の流れを変える可能性があります。
米ドル下落、ゴールド上昇
当然ながら、財政刺激策によって最も下落した通貨は米ドルで、全面安となりました。米国債利回りの低下も、金利差による米ドルの魅力を低下させました。しかしながら、財政刺激策の規模を考慮すると、全体的には米ドルの下げ幅は緩やかとなっています。FRBが可能な限りの財政刺激策を決定したにもかかわらず、米ドルは大幅に下落していなことから、慎重姿勢による米ドルの需要増加が浮き彫りになっています。
財政赤字の急激な増加、及び経済見通しの不透明感上昇に加え、FRBのバランスシート拡大を材料視され、ゴールドが最も恩恵を受けました。政府の財政赤字急増、及びFRBによる資金供給により、ゴールドの上昇相場は継続する見通しです。
OPECの減産量に市場落胆、ユーロ圏財務相会合後のユーロ相場の反応は限定的
市場の予想通り、昨日、OPECとロシアは1000万バレルの減産に合意しました。しかしながら、市場は減産規模に落胆した為、原油価格は下落しました。現在の生産量から減産されるため、先月からの250万から300万バレルの増産により、実質の減産量は約700万バレルになります。更に、減産期間は僅か2か月で、原産国は200万バレルの増産が可能になります。
昨日のユーロ圏財務相会合では、5400億ユーロの経済対策は合意に至ったものの、コロナ債の決定は見送られました。
本日は、多数の国で祝日となっている為、市場の流動性が低下しています。そのため、大きなニュースがなくても、市場が大きく動く可能性があります。