デイリーマーケットコメントー感染拡大ピーク観測で株価上昇、米企業決算発表に注目

投稿日: 2020年4月14日18時21分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 感染拡大ピークの観測で、リスクムードが改善し、株価上昇
  • 米企業決算発表により、楽観的観測には注意
  • 米ドル下落、一方でポンドと豪ドルが一段高

世界的感染拡大ピークの可能性

本日に、新型コロナウイルスによる米企業決算への影響が明らかになる前の昨日の市場では、世界的な感染拡大がピークに到達したとの観測が広がり、世界的に株価が上昇しました。アジアの株式市場は、1%から3%の上昇となりました。特に日経平均株価は、3.1%値上がりしました。イースター休暇明けの欧州市場も上昇しました。昨日の米株価下落後、本日の米主要株価先物指数は、1%以上の上昇を示しています。

フランス、イタリア、スペイン、及びドイツ等の感染拡大が深刻な欧州の国では、感染拡大がピークに到達した兆しが見え始めました。また、米国でも、新たな感染者数が減少し始めました。各国がビジネス再開時期を模索する中、スペインとイタリアでは、閉鎖措置緩和に踏み切りました。米国内でも多数の州では、今後数週間内に、経済活動を再開させる見込みです。

しかしながら、多数の医療専門家は、封鎖措置の早期緩和に注意を促しています。新型コロナウイルスのワクチン開発にも期待が集まっています。昨日、WHOは既に70のワクチンが開発中で、臨床試験済みであることを明らかにしました。

株価回復の一方で、本日は米四半期決算のリスク

ワクチンへの期待は、株価上昇に繋がりましたが、本日から米企業決算発表がスタートします。本日には、大手金融機関のJPモルガン、及びウェルファーゴの決算が発表される予定で、前年比で二桁の低下が予想されています。

前代未聞の危機の中、市場予想を大きく下回る可能性もあります。したがって、今後数週間の株式市場は、荒い値動きに繋がるでしょう。米企業への影響が明らかになる一方で、政府や中央銀行による財政刺激策、及び閉鎖措置緩和への期待も、リスクムードを下支えするでしょう。

閉鎖措置が長期化するにつれ、市場は企業の経営状況を見極める為、企業のバランスシートに注目するでしょう。

中国指標の予想を上回る結果で、リスク通貨上昇

本日の外国為替市場でも、リスクムードの回復が見られました。中国が発表した貿易指標の予想を上回る結果も、リスクムード改善の追い風となりました。中国3月輸出は、前年比6.6%減となり、予想よりも好調な結果となりました。世界経済が感染拡大で打撃を受けている為、今後数か月間は、輸出は圧迫される見通しです。しかしながら、本日の好調な結果により、豪ドルが上昇し、最も堅調推移した通貨となりました。

直近での豪ドルとNZドルは、対米ドルでそれぞれ0.5%と0.4%上昇していました。ジョンソン首相が退院したことにより、ポンドも二日連続で上昇しました。ポンド/ドルは、1.25ドル台を超え、1か月ぶり高値となりました。

一方のユーロは、EUにより大規模な財政刺激策が決定していない為、横ばい推移となりました。

円、スイスフラン、及び米ドル等の安全資産は下落しました。米ドルインデックスは、約2週間ぶり低水準を推移しています。ゴールドは例外で、1727ドルまで急騰し、7年ぶり高値を更新しました。ゴールド上昇の要因は、米ドル安がありますが、市場の慎重姿勢も反映しているでしょう。