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原油価格急落が株式市場に波及
WTI原油先物に続き、ブレント原油先物が湾岸戦争以来の安値まで急落しました。原油需要の枯渇、供給過剰、及び原油保管施設のスペースが限界に達したことが、原油価格急落の要因となりました。昨日、WTI原油先物の6月物も下落し、スポット価格のマイナス価格への急落は、より広範囲に影響することが浮き彫りになりました。
WTI原油先物の6月物が5月19日に期限を迎える際に、同様の原油価格急落が起きる可能性があります。昨日に、米石油協会が発表した米原油在庫では、1300万バレル増加が明らかとなりました。その内、原油受け渡し拠点のオクラホマ州クッシングの在庫は、490万バレル増でした。オクラホマ州クッシングの保管スペースは、約1600万バレル分残っています。したがって、現在のペースで在庫が増加すると、5月19日までには満杯になるでしょう。
状況悪化を受けて、トランプ大統領とOPECが介入しました。トランプ大統領は、経営が悪化している国内のエネルギー関連企業に対しての公的支援を検討することを明らかにしました。OPECは、一段の減産を検討する考えを示唆しました。
米政府による救済策は、原油価格を一段と下落させる可能性があります。救済策は、経営基盤が脆弱な多数の小規模企業を救済する為、価格安定に繋がる市場主導の供給低下とエネルギー業界の健全な再構築を阻止することになります。更に、米国が減産しない場合、マーケットシェアを維持する為に、OPECとロシアは最近合意した減産を実施しない可能性もあります。
遂に株価も下落
原油価格急落は、株式市場にも波及しました。リスクオフの流れが強まり、S&P500は3%下落しました。中小企業を支援する為、米上院では、約5000億ドルの追加経済対策の可決が可決されましたものの、株高要因には繋がりませんでした。原油価格の急落により、FRBが債券市場や株式市場を支援しても、実体経済が悪化すると、影響がどこかに出てくることを改めて市場は認識したようです。
本日、欧州株式市場は上昇し、米株式市場も若干上昇してのオープンを示しています。したがって、市場は次の波乱までは安定する見通しです。
イタリア国債の問題で、ユーロ相場に注目
外国為替市場は、比較的静かな動きとなりました。昨日、英政府高官は、新型コロナウイルスによる影響にもかからず、ジョンソン首相はEU離脱後の移行期間を延長する考えがないことを明らかにしました。これにより、ポンドが下落しました。
トランプ大統領がエネルギー関連企業への救済策を示唆し、財政赤字拡大が材料視され、米ドルは上昇幅の一部を失いました。
現在、市場の関心はユーロの値動きに向けられています。ドイツ国債とイタリア国債の利回りの差が、ECBが警戒する水準に達しています。
明日の会合では、イタリアの救済策は期待されていません。したがって、今週金曜日には格付け会社S&Pがイタリア国債の格付けを引き下げ、イタリア国債の売り圧力が加速するでしょう。
現在の所、ユーロの反応は限定的ですが、混乱が大きくなり、ECBの介入が必要になると、ユーロ相場が大きく動く可能性があります。