デイリーマーケットコメント–1.9兆ドルの景気対策案で利益確定売りの動き

投稿日: 2021年1月15日19時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • バイデン次期大統領の景気対策案が可決しない可能性により、株価下落
  • 若干のリスクオフの流れと、パウエル議長のハト派的発言で、米ドル高失速
  • ユーロはリスクを織り込み下落、ポンドはワクチン接種加速で上昇
  • 米小売売上高、米企業の四半期決算、独与党の新党首選出に注目

バイデン次期大統領の景気対策案が縮小して可決する可能性に懸念

バイデン次期大統領は、米経済を刺激する為に、1.9兆ドルの景気対策案を公表しました。景気策には、1400ドルの国民への現金給付、州政府への支援金、ワクチン接種やウイルス検査の拡充、失業給付金の上乗せ額の引き上げ、及び最低時給の15ドルへの引き上げ等が盛り込まれています。更に、インフレ政策に焦点を当てた第二弾の景気対策も実施される予定です。

市場は若干落胆しました。米株価と国債利回りは下落しましたが、緩やかな下落となりました。市場予想の2兆ドル規模を下回りましたが、支援先が多岐にわたる為、上院での可決は一筋縄ではいかないでしょう。

通常、上院での法案可決には、60%の支持が必要です。評議会は、民主党と共和党が半々で構成される為、バイデン次期大統領の景気対策案が可決されるには、民主党員全員と10名の共和党員の賛成が必要です。或いは、過半数獲得のみで可決できる予算調整法の手順を利用することも可能ですが、第二弾の景気対策案にはこの方法は利用できません。いずれにしても、財政面で保守派寄りの民主党員も在籍していることから、スムーズに進まない可能性があります。

総じて、米議会での可決は容易ではなく、最終的な可決案は大幅に削減された内容となる可能性があります。更に、状況を複雑化させている要因に、トランプ大統領の弾劾追訴があります。上院はトランプ大統領の弾劾裁判に時間を取られて、景気対策案の採決が遅れる可能性があります。したがって、一部の投資家は最高値付近で株式の利益を確定させ、今後の混乱に備える動きを見せました。

米ドル高失速、ユーロ下落、ポンド上昇

外国為替市場では、米ドルはバイデン次期大統領の景気対策案に殆ど反応を見せませんでした。本日の米ドルは若干上昇したものの、ユーロ下落や株式市場での若干のリスクオフの流れが米ドルの需要を増加させたことが要因のようです。昨日、パウエル議長が量的緩和縮小の可能性を否定したことは、米ドル上昇を妨げる一要因となりました。

最近、ユーロの上昇勢いが若干失速しました。イタリア政局の混乱、ECB議事録のハト派的内容、及びメルケル首相による全国的なロックダウン延長姿勢が、ユーロ下落に繋がったようです。大局的な流れとしては、悪化するユーロ圏経済への懸念が織り込まれたことも、ユーロ安の要因となったようです。現時点では、ユーロ圏はW型景気後退は回避できない見通しです。翌週にECB政策会合を控え、市場は更なるハト派的シグナルに備えている可能性があります。

本日、ポンドの上昇勢いは弱まったものの、ポンドは大きく上昇して今週を終える模様です。ポンド高の主要因は、最近加速したワクチン接種のスピードでしょう。これにより、英国が、新型コロナウイルスを収束させる最初の主要国となる期待が高まっています。

米小売売上高、米企業決算発表、独与党の新党首選出

量的緩和縮小の可能性が注目される中、本日に発表される米12月消費者物価指数は、米ドルと株価とにとって重要な指標となるでしょう。更に、バイデン次期大統領の景気対策案を支持する発言が上院議員の中から出るかにも、市場は注目するでしょう。

第4四半期決算発表のシーズンも開始します。米株式市場の会場前には、JPモルガン、シティーグループ、及びウェルファーゴの決算が発表されます。

本日、ドイツの与党キリスト教民主同盟は、党大会を開き、新党首を選出します。新党首は、メル敬首相後継の最有力候補になるでしょう。