デイリーマーケットコメント–米雇用統計の結果で米ドル下落、株価は上昇

投稿日: 2021年2月8日19時43分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計の脆弱な結果で、米ドル下落
  • 経済の悪いニュースは、刺激策と株価には良いニュース
  • ワクチンが効かない変異種のニュースは材料視されず、米消費者物価発表に注目

労働市場の回復鈍化の兆しで、追加経済対策に追い風

米雇用統計は、市場予想を下回る結果となり、米経済回復の横ばい推移の兆しを示しました。米非農業部門雇用者数は、市場予想とほぼ一致した結果でした。しかしながら、週前半に発表された米ADP全国雇用者数、及びPMI指数の好調な結果により、市場はより強い結果を期待していたようです。

米ドルは大幅に下落しました。経済回復の鈍化は、FRBによる量的緩和維持の長期化に繋がります。ユーロ/ドルは、最近に形成された三尊天井のレジスタンスを上抜けることができず、テクニカル分析上では米ドルはポジティブな見通しを維持しています。

刺激策の観点から、経済の悪いニュースは、株式市場にとってポジティブな材料となることがあります。先週金曜日、量的緩和の長期化、及び1兆9000億ドルの追加経済対策案の議会承認観測により、S&P 500は最高値を更新して引けました。

昨年からの大規模な財政刺激策が株価急騰の主要因となっています。迅速な対応が重要な為、最近のバイデン政権の動きから、民主党は共和党と追加経済対策案についてこれ以上協議しない見方が市場で広がっています。したがって、民主党が迅速に追加経済対策案を米議会で承認させ、規模も維持されることに期待が集まっています。

ワクチンが効かない変異種、及びインフレに注目

各国政府の財政刺激策への期待により、市場が多数の下振れリスクを過小評価している可能性があります。先週末、アストラゼネカのワクチンによる南アフリカの変異種への有効性は限定的である研究結果が明らかになりました。

今回の研究結果では、中軽症の病状には効かないものの、重症の症状には依然としてワクチンの有効性が示されました。しかしながら、変異種へのワクチンの有効性は、今後も注視していく必要があるでしょう。ワクチンが効かない変異種が一つでも存在すると、世界の経済再開時期は数か月先送りされる可能性があります。今回のニュースにより、リスク資産は大幅に下落しましたが、同時に追加刺激策の可能性も浮上させた為、市場の混乱には繋がりませんでした。

もう一つのリスクは、インフレです。複数の著名なエコノミストは、1兆9000送ドルの経済対策は、経済のオーバーヒート、及びインフレ上昇に繋がり、FRBが利上げを迫られる可能性を指摘しています。現在の所、FRBはインフレ上昇は一時的な現象と見なし、インフレの上振れを許容する方針を示しています。

しかしながら、インフレが3%を上回った場合、FRBも方針を転換させるでしょう。政府の大規模な刺激策、預金残高の上昇、累積需要の増加、エネルギーやコモディティ価格の上昇、サプライチェーンの混乱を考慮すると、インフレの3%越えの余地はあるでしょう。今週に発表される米1月消費者物価指数には、市場の注目が集まるでしょう。

主要な経済指標の発表がない中、ラガルドECB総裁の発言に注目

本日には、主要な経済指標の発表は予定されていません。GMT1600のラガルドECB総裁の発言は、注視されるでしょう。

市場の関心は、米追加経済対策の議会承認、及びワクチン接種スピードに向けられるでしょう。主要経済国では、英国のワクチン接種率が他国をリードしています。

先週と同様に、米ドル高と株高の流れも継続するかにも注目が集まるでしょう。米ドルは、リスク資産として魅力を失いつつあり、米経済のファンダメンタルズ要因に反応した動きを見せ始めています。