デイリーマーケットコメント– 米上院で経済対策案可決、米ドル上昇、株価は不安定な動き

投稿日: 2021年3月8日20時07分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計の強い結果、及び追加経済対策案の上院通過で、米ドル上昇
  • 国債利回り上昇により、ハイテク銘柄が下落し、株価は不安定な動き
  • 一部で調整の動きがあるのものの、市場全体は安定

ポジティブなニュースが継続

ワクチン接種スピードの加速化、及び米追加経済対策承認見通しにより、利上げ時期の前倒しを市場が織り込み始め、本日の世界市場は、国債利回りの上昇に引き続き反応しました。米労働市場は急速に回復し、バイデン大統領による追加刺激策案が上院で可決されました。先週末、米国のワクチン接種者数は過去最多となり、ワクチン接種スピードが加速しています。

米2月非農業部門雇用者数は、市場予想の18.2万人増の2倍となる37.9万人増となり、失業率も改善しました。今回の結果は、ワクチン接種の加速化や米追加経済対策承認見通し前の状況を反映している為、非常にポジティブな結果でしょう。したがって、今後の指標結果は一段と改善する見通しです。

しかしながら、経済の明るい見通しが必ずしも金融市場にとって良いニュースとは限りません。経済回復の見通しにより、FRBが量的緩和縮小に予定よりも早く着手する可能性があります。

現在の所、FRBはインフレの上振れ許容の方針を示していますが、ワクチン接種と追加経済対策により、予想外に経済回復のスピードが加速した場合、金融正常化の時期の前倒しは適切な対応となるでしょう。

債券市場は、早期の金融正常化を織り込んでいるようです。米利上げは2022年後半から2023年前半に予想されており、今週、米10年債利回りは1.6%越えで推移しています。市場は、量的緩和縮小時期が早まると見なしつつあり、通貨市場や株式市場にも影響を及ぼすでしょう。

米ドル復活?

外国為替市場に関しては、利回りの差は、米ドルのポジティブな要因となります。日銀が日国債利回りの上昇を制限している為、特に対円では顕著です。本日、米ドルは殆どの主要通貨に対して上昇しています。今週のECB政策会合でのハト派的見解が織り込まれ、ユーロの上値が重くなっています。ECBは、利回り上昇に特に警戒しています。

例外の動きを見せているのはポンドで、対米ドルでも上昇しています。英長期国債利回りは今年に入って4倍となっているにもかかわらず、最近、イングランド銀行はFRBと同様に利回り上昇に寛容な姿勢を示しています。英国がワクチン接種で他国をリードしている為、利回り上昇は当然の反応とイングランド銀行は見なしているようです。

国債利回り上昇によって、ユーロと円が下落する一方で、米ドルとポンドは上昇しています。

ハイテク銘柄下落、しかしながら、市場全体は安定した動き

株式市場は、引き続き不安定な動きとなっています。先週金曜日、S&P 500とナスダック指数は、荒い値動きの後、米雇用統計の強い結果を受けて、高値で引けました。国債利回り上昇により、米主要株価先物指数は下落してのオープンを示しています。

国債利回りが低下すると、投資家は株式等のリスクの高い資産に資金を移動させます。しかしながら、利回りが上昇すると、株式の魅力が低下します。

総じて、現在の動きは株式市場の下落の始まりではなく、健全な調整の動きのようです。追加経済対策案は承認される見通しで、FRBは量的緩和の継続を示しており、ワクチン接種も進んでいます。株式市場は荒い値動きとなる可能性がありますが、長期国債利回りが大きく上昇する公算は小さいでしょう。株式の売り圧力はハイテク銘柄に留まっており、大局的には健全な流れとなっています。