デイリーマーケットコメント–米ドル高継続、ハイテク株売りで株式市場は若干下落

投稿日: 2021年3月9日20時25分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 国債利回りが上昇する中、米ドルとポンド上昇
  • 全体的に株式市場は静かな動き、ハイテク銘柄は下落
  • 本日は国債利回りが若干下落し、米ドルの上昇は鈍化、株価とゴールド回復

株式市場でのローテンション継続

昨日の株式市場は、大幅には下落しなかったものの、世界経済再開の見通しにより、ハイテク株から循環株へのローテンションが見られました。ダウ工業株が最高値を更新する一方で、ナスダック指数は最高値から10%下落した水準で推移し、下落基調が継続しています。

株価と国債利回りには、密接な関係があります。利回りは資金の価値に直結し、株式の価値に極めて重要です。国債利回りが上昇すると、株価の魅力も低下します。長期国債利回りが非常に低いと、ハイテク株や成長株に投資した方が有利ですが、長期国債利回りが上昇すると、株式投資は合理的ではなくなります。

したがって、現在の所、既に上昇してしまったハイテク株を購入するよりも、利回りの良い国債等の安全資産の方が投資家にとって魅力的です。昨日には、殆どのハイテク株が下落し、バリュー株が回復しました。例えば、ハイテク株が殆ど含まれない独DAX 30が最高値を更新しました。

今回の動きは、昨年のハイテク株急騰後の健全な調整の動きでしょう。利回り上昇は株価の値動きに影響を及ぼすものの、経済全体としては、非常にポジティブな見通しです。金利は史上最低水準付近で抑えられており、追加経済対策案も承認される見通しです。更に、世界的にもワクチン接種が急速に進んでいます。

国債利回りが上昇する中、米ドルとポンド上昇

国債利回りはハイテク株価を下落させたものの、金利差が材料視される為、複数の通貨の上昇に繋がります。米ドルとポンドは上昇し、一方でユーロと円が下落しています。

米国と英国のワクチン接種は他国よりも大きく進んでいる為、他の中央銀行よりも利上げが速くに実施される公算が大きくなっています。FRBもイングランド銀行も利回り上昇は、経済の明るい見通しへの自然の反応と見なしているようです。

対照的に、ユーロ圏の国債利回りも上昇する中、ECBは不安定な経済、及びワクチン接種の遅延に直面しています。利回り上昇は、貸付コスト上昇に繋がり、経済回復に悪影響を及ぼします。ECBは国債利回り上昇を抑制する可能性があり、FRBとイングランド銀行は、状況がコントロールできない状態になった場合にのみ介入する可能性があります。

世界の国債利回りが若干低下した為、本日前半の米ドルは下落し、最近の上昇幅の一部を失いました。今回の米ドルの下落は、下落相場への転換ではなく、米ドル高の流れでの調整の動きに過ぎないでしょう。

ゴールドは大打撃

コモディティ市場では、米ドルの回復と国債利回り上昇により、ゴールドが最も下落しました。ゴールドは米ドルで取引され、利回りは発生しません。したがって、米ドルが上昇すると、ゴールドの購入にはコストが上昇し、国債利回りが上昇すると、ゴールドの魅力が低下します。

本日には、国債利回りと米ドルの若干の下落によって、ゴールドは上昇しました。しかしながら、テクニカルチャート上でのゴールドの見通しは改善していません。夏に向けてのインフレ上昇見通しにより、上昇の最後のチャンスがありますが、FRBによる金融正常化観測の拡大により、見通しは不透明です。

本日には、経済指標発表は殆ど控えていません。唯一、市場の注目を集めるのは、GMT13:00に予定されているイングランド銀行のチーフエコノミスト、ホールデン氏の発言でしょう。