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米非農業部門雇用者数の脆弱な結果で、テーパリング観測後退
先週金曜日の米雇用統計の脆弱な結果は、市場を落胆させました。投資家は、政府の財政刺激策、及びFRBの緩和策の長期継続見通しを織り込み、ポートフォリオを再調整しました。米4月非農業部門雇用者数は、市場予想の97.8万人増を大幅に下回る僅か26.6万人増でした。更に、過去2か月の結果も下方修正されました。
非農業部門雇用者数結果が予想を大幅に下回った要因として、季節的要因、及び寛大な失業手当により、労働者が就業に消極的になった可能性が市場で指摘されました。この可能性が正しい場合、雇用者は労働者獲得ために賃金を引き上げる可能性があり、今後の賃金引上げ見通しには良いニュースとなるでしょう。
米雇用統計では、市場が予測していたほど、米経済が回復していないことが浮き彫りとなりました。したがって、当面の間、FRBは量的緩和を継続し、バイデン大統領の財政刺激策案の議会通過がよりスムーズになるでしょう。
年内のテーパリング観測が後退し、米ドルは急落しました。その一方で、米株価は上昇し、S&P500は最高値を更新しました。
債券市場の反応は限定的、ポンド上昇
一方で、債券市場の反応は異なりました。米10年債利回りは上昇して引け、今回の動きは一時的な調整であり、相場転換ではない可能性を示しました。これにより、本日前半の米ドルは安定しました。
英国では、スコットランドの議会選挙結果により、ポンドが今週を好調なムードでスタートしました。与党・スコットランド国民党は64議席を獲得し、単独過半数には届きませんでした。しかしながら、緑の党と連立政権を樹立し、独立を問う国民投票を実施する可能性があります。
しかしながら、与党・スコットランド国民党が単独過半数を獲得しなかった為、ポンドの反応は、国民投票の実施まで時間がかかると見なしているようです。
政治的リスクが後退した現在、英経済回復見通しにより、イングランド銀行は年内での量的緩和終了の準備を進めている模様で、ポンドにとっては明るい見通しとなるでしょう。
ゴールド一段高、サイバー攻撃で原油価格上昇
米ドルにとってのネガティブなニュースは、ゴールドにとってポジティブなニュースになります。米雇用統計の脆弱な結果を受けて、ゴールドは一段と上昇しました。今後数か月内のインフレ上昇の可能性にもかかわらず、FRBが量的緩和継続方針を維持している為、ゴールド高は継続するでしょう。
エネルギー市場では、米石油の主要なパイプラインがサイバー攻撃により、業務停止を余儀なくされ、原油価格が上昇しました。しかしながら、供給問題による市場への影響は、長くを継続しない傾向があります。市場に影響する実際の要因は、ウィーンで開催される米国とイランの核協議になるでしょう。
現在の所、イラン産原油の産出量は、市場には織り込まれていません。したがって、今後の制裁解除に備えて、投資家は、供給の大幅な増加と需要回復見通しのバランスを再調整する必要があるでしょう。
