デイリーマーケットコメント–米経済指標発表控え国債利回り上昇、利下げ示唆でポンド高

投稿日: 2021年5月28日20時01分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • バイデン政権の6兆ドル規模の予算案で国債利回り上昇;PCEデフレーターに注目
  • 英中銀の2022年前半の利上げ示唆で、ポンド急騰、しかしながら、対米ドルでは緩やかな上昇
  • 米経済指標の強い結果、及び米予算案拡大見通しで、株価は上昇、しかしながらハイテク銘柄は下落

米予算案拡大見通しで、国債利回り上昇

米予算案拡大の見通しが市場ムードを改善し、米国と世界の国債利回りは上昇して今週を終える模様です。昨日のニューヨークタイムズの報道によりますと、バイデン政権は2022年度の予算教書で6兆ドルの歳出計画を提出するようです。民主党は、インフラ、環境、及び社会福祉等の課題を推し進めています。

バイデン大統領が提出したインフラ計画の超党派協議も継続しています。昨日、共和党はインフラ計画規模を9280億ドルに引き上げましたが、民主党が提案する1兆7000億ドルとは、依然として大きな隔たりがあります。バイデン大統領は、超党派協議の期限を今月末までに設定しています。超党派の合意が実現しない場合、民主党は単独で法案可決を目指す可能性があります。しかしながら、上院での民主党と共和党の割合は半々となっている為、民主党単独での法案可決を目指す場合でも、一部の民主党上院議員の支持を獲得する為に、現行の案に若干の譲歩も必要なようです。

今後数年間での財政赤字拡大見通しにより、昨日の米7年債入札には、強い需要が見られました。しかしながら、昨日の国債利回りは急騰し、10年債利回りは今週前半の下げ幅をほぼ回復しました。

PCEデフレーターの結果で、国債利回りは一段の上昇の可能性

バイデン政権での予算拡大、及び財政赤字拡大見通しに加えて、経済指標の強い結果も国債利回りの上昇要因となりました。昨日に発表された米週次新規失業保険申請件数は、14か月ぶり低水準まで回復しました。米4月耐久財受注は予想外に低下したものの、ビジネス投資をより正確に反映していると見なされるコアの資本財受注は、前月比2.3%増となりました。

本日に発表される米4月PCEデフレーターにも市場の注目が集まります。FRBが重視する個人消費支出は、前年比2.9%増が予想されています。米4月個人所得、及び米4月個人支出も注視されるでしょう。

テーパリングの開始時期を巡る市場の見解は、現在、インフレ上昇を一過性に過ぎないと見なすFRBの見解に一致しつつあるようです。一方で、FRBメンバーは、今後数回先の政策会合において、テーパリング協議が開始される可能性を示唆しています。したがって、今後発表される経済指標が予想外に強い結果となった場合、国債利回りは現在のレンジ幅の上限に向けて上昇する可能性があります。

米予算案拡大見通しで、バリュー株上昇

株式市場では、予算拡大見通し、及び経済指標の強い結果により、ダウ工業株が0.4%値上がりして引けました。S&P 500は0.1%上昇したものの、国債利回り上昇により、ハイテク銘柄は再度値下がりしました。

本日の米主要株価先物指数も、同様の動きを見せています。ダウ工業株先物指数が最も上昇して推移しています。欧州株式市場も上昇してのスタートとなりました。しかしながら、主要通貨ペアでは、明確なリスクオンの勢いは見られませんでした。

英中銀の利下げ示唆でポンド急騰、しかしながら、米ドルも底堅く推移

本日、円は対主要通貨で全面高となりました。昨日のポンド、豪ドル、NZドル上昇による利益確定の動き、及び安全資産の需要増加が円高要因となったようです。

国債利回り上昇により、米ドルも底堅く推移しました。ユーロ/ドルは1.22ドル付近で推移し、NZドル/ドルは0.7260ドル付近まで下落しました。原油価格の回復により、カナダドルも底堅く推移しました。WTI原油先物指数は、67ドル台に向けて上昇しています。

昨日、利下げ示唆により上昇したポンドは、本日には対米ドルで横ばい推移となりました。イングランド銀行金融政策委員会のブリハ委員は、新型コロナウイルス禍に伴う一時帰休労働者向け支援の終了後、労働市場が順調に回復している場合は、翌年の前半にも利上げの可能性があることを示唆しました。この発言により、ポンド/ドルは1.4090ドルから1.42ドル台越えまで急騰しました。

イングランド銀行の今月の政策会合でテーパリングが決定後、ブリハ委員が初めて利上げに言及したメンバーとなりました。米10年債利回りも上昇し、ポンド/ドルは1.42ドル台を割り込みました。しかしながら、この動きは、ポンド高の勢い失速よりも、最近の米ドル安の終わりを示している可能性があります。