デイリーマーケットコメント–デルタ・プラス株の感染拡大で株価下落、米ドルと円上昇

投稿日: 2021年6月29日19時40分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米株価最高値更新、一方のアジア株式市場は、デルタ・プラス株の急速な完成拡大で下落
  • リスクオフムード、及び米市場では感染拡大が材料視されず、米ドルと円が上昇
  • ユーロとポンドは上値の重い展開

デルタ・プラス株による感染拡大で、株式市場は強弱混合の動き

本日のアジア株式市場は、二日連続での下落となりました。アジアでのデルタ・プラス株の急速な感染拡大が経済回復見通しを後退させました。日本やオーストラリアでのワクチン普及遅延も投資家の懸念材料となりました。

北米や欧州では、成人人口の50%以上がワクチン接種を完了、或いはワクチン接種の完了率が急速に上昇しています。したがって、アジア太平洋地域の主要な経済国が長期間の規制強化を余儀なくされる可能性が浮上しています。過去数日間、オーストラリアの複数の都市では、感染者増加を受けて、ロックダウンが実施されています。

本日、日経平均株価は0.8%値下がりし、中国のCSI300も1.2%値下がりして引けました。一方、豪株式市場は前半の急落が回復し、終値は若干の下落に留まりました。

昨日、S&P 500、及びナスダック指数は最高値を更新して引けました。本日、Eミニ先物指数は、若干下落してのスタートを示しています。米国内の高いワクチン普及率により、米株式市場では、デルタ・プラス株による感染拡大懸念は材料視されませんでした。市場は、今年後半のテーパリングを織り込んでいるようです。

米ドル再び上昇

米経済の回復見通し、及び緩やかなリスクオフムードにより、国債利回りの低下にもかかわらず、昨日の米ドルは上昇しました。四半期末のポジション調整、及びFRBメンバーのタカ派寄り発言により、本日の国債利回りは回復しました。

米ドルインデックスは、1週間ぶり高水準の92.0を上回りました。円は、米ドルとスイスフラン以外の通貨で、上昇しました。今後発表される米経済指標が脆弱な結果にならない限り、米ドルは一段の上昇余地があるでしょう。

今週金曜日の米非農業部門雇用者数の発表を控え、本日の米6月消費者信頼感指数、及び木曜日の米6月ISM製造業PMIには、市場の関心が集まるでしょう。

豪ドル下落、ユーロとポンドも上値の重い展開

予想外にも、本日最も軟調推移した通貨は豪ドルでした。豪ドルは、対米ドルで1週間ぶり安値まで下落しました。本日前半のNZドルは、ニュージーランド準備銀行による国内経済への楽観的姿勢により、上昇しました。しかしながら、ワクチン普及が遅延する中、デルタ・プラス株の感染拡大への懸念により、NZドルは下落しました。

イギリスでは、新保健相が7月19日からの完全な規制撤廃を発表した数時間後には、新規感染者数が約2万3000人まで上昇しました。これを受けて、ポンドの上値が重くなりました。

ユーロは、米ドル高により、1.19ドル台を再度試す展開となりました。EU復興基金終了を巡るECBメンバーの見解は、材料視されませんでした。最近のECBメンバーの発言からは、ECBメンバー内で意見が分かれているものの、タカ派寄りのメンバーが引き続き多いようです。