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感染拡大への懸念再浮上で、米ドル一段高
デルタ・プラス株がアジアだけでなく、他の地域の経済回復に影響を及ぼすことが懸念され、市場のリスク回避の流れが強まりました。明日に米雇用統計発表を控え、ポジション調整の動きも、市場の慎重ムードに繋がりました。アジアセッション終盤の米ドルは、昨日の上昇幅を拡大させ、対主要通貨で3か月ぶり高値付近まで上昇しました。しかしながら、欧州セッションでは、上昇の勢いに鈍化が見られました。
アジアの複数の国では、デルタ・プラス株による感染の波が今までで最大になるとの見方もあり、安全資産の需要が増加しました。米国内の高いワクチン接種率、及び力強い経済回復が材料視され、安全資産でも、円よりも米ドルに需要が集まりました。
今週金曜日に発表される非農業部門雇用者数は、米労働市場の一段の回復を浮き彫りにするでしょう。大幅な回復は予測されていませんが、FRBが今年後半にテーパリングに着手できる水準は維持するでしょう。
昨日、タカ派的メンバーの一人として見なされるダラス連銀のカプラン総裁は、年内早めのテーパリングが望ましいとの見方を示しました。今後数か月は、FRBが現行政策を据え置く見通しを市場が織り込みつつあります。欧州、及び日本での経済回復遅延、及びオーストラリアでの感染拡大の懸念を考慮すると、FRBのハト派的方針にもかかわらず、米国が他国よりも早くにテーパリングに着手する公算が大きいでしょう。したがって、今後米ドルが一段と上昇する可能性も大きくなります。
株式市場は、対照的なムード
アジア市場では、製造業PMIの結果が、デルタ・プラス株による経済活動への影響を浮き彫りにし、株価が下落しました。マレーシア、インド、及びベトナムでは、製造業PMIが50を割り込みました。一方、中国、及び日本の製造業PMIには鈍化が見られました。
アジア株式市場は、概ね下落して引けました。しかしながら、欧州市場は、市場ムードに改善が見られ、欧州の株価は1%上昇しました。米主要株価先物指数も約0.3%上昇しました。S&P 500は、5日連続で上昇して引ける模様です。
パンデミックの最も影響を受けた業種のビジネス再開、及びテーパリング開始後でも十分な流動性が期待できることにより、ワクチン接種率の高い米国と欧州の株価は底堅く推移しています。
FX市場には楽観的ムードは見られず、OPECプラス会合を控え、原油価格は上昇
外国為替市場では、楽観的ムードは見られませんでした。ユーロ/ドルは、1.1836ドルまで急落し、約3か月ぶり安値となりました。ポンド/ドルは、主要な水準の1.38ドルを試す展開となっています。
昨日、EUが英国から北アイルランド向け食品移送の手続き緩和措置の期限を延長する方針を公表しました。しかしながら、ユーロと円の反応は限定的でした。
コモディティ通貨は安値から回復したものの、引き続き対米ドルで上値の重い展開となっています。市場のリスクムードが前半から回復し、コモディティ通貨は対円で上昇しました。原油価格の回復にもかかわらず、カナダドルは対米ドルで引き続き下落して推移しています。
本日のOPECプラス会合において、日量50万バレルの増産が決定された場合でも、供給過多のリスクは少ないと市場で見なされ、WTI原油先物、及びブレント原油先物は下落しました。アジアでの再度ロックダウンの動きを受けて、需要見通しの懸念が浮上し、今週前半の原油価格は1週ぶり安値まで下落しました。しかしながら、OPEC加盟国、及び他の産出国は、供給過多を回避する為、増産には慎重になるでしょう。