デイリーマーケットコメント–米雇用統計発表後に米ドル下落、株価上昇

投稿日: 2021年7月5日19時49分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計発表後、米ドルは若干下落、株価は最高値更新
  • OPECプラスの会合が再開される中、原油価格とカナダドルは高値維持
  • 豪ドルは、明日の豪中銀の政策会合に注目

米非農業部門雇用者数は予想を上回る強い結果

米非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る結果となり、失業率も改善し、先週金曜日は、殆どの市場で荒い値動きとなりました。非農業部門雇用者数と失業率は異なる調査が基になっている為、常に同様の結果となるとは限りません。

今回の米雇用統計の結果は強い結果となったものの、FRBが早期にテーパリングに着手するには不十分として市場では解釈されたようです。早期テーパリングのリスクが後退し、米ドルと国債利回りが低下しました。その一方で、株価は最高値を更新しました。

今回の雇用統計は、非常に強い結果とはならなかったものの、予想を上回る強い結果でした。失業率も低下しつつあります。米経済回復に伴い、求人件数は過去最高水準まで上昇し、テキサス州やフロリダ州等の複数の州では、失業保険の上乗せ給付が終了しました。したがって、翌月の米雇用統計は、大幅に上昇する可能性があります。

米ドルの下落は、一時的な下落の可能性があります。米労働市場は急速に回復し、バイデン政権は賃金引上げ方針を明らかにしています。家賃の支払い猶予期間が今月に終了すると、賃貸料の上昇により、インフレ上昇はすぐには収まらないでしょう。

上記のことから、FRBによる早期テーパリング着手の可能性が材料視され、米ドルは円等の低金利通貨に対して上昇するでしょう。

先週のOPECプラス会合は合意に至らず、本日に協議再開

エネルギー市場に関しては、先週、OPECプラスの会合では、増産への合意に至らず、協議は本日に再開されます。多数のメンバー国は、年末までの計200万バレルの増産を支持しています。しかしながら、アラブ首長国連邦は決定の先送りを提案しています。

原油価格が高値を維持していることから、市場はOPECプラスはで妥協案で合意すると見なしているようです。原油価格は上昇を継続してきましたが、今後一段と上昇する公算は小さいでしょう。OPEC、及び米国による供給量増加が見込まれる中、デルタ変異株によって、需要回復見通しは不透明となっています。

明日の豪中銀の政策発表に注目

外国為替市場の次のリスク材料は、火曜日に予定されているオーストラリア準備銀行の政策会合でしょう。豪経済は非常に底堅く推移しています。5月の失業率は、コロナ禍前の水準まで改善しました。住宅価格も上昇し、オーストラリアが輸出するコモディティ価格も上昇しています。その一方で、デルタ変異株による急速な感染拡大、及びワクチン接種遅延により、オーストラリア全土の半分で、再度ロックダウンが実施されています。

数週間前までは、オーストラリア準備銀行はテーパリングに向けて動き出すと見なされていました。しかしながら、最近のロックダウンにより、緊急措置を緩やかな縮小方針に切り替える可能性が浮上しています。

本日、米市場は独立記念日により閉場となっています。そのため、市場の流動性低下により、小さなニュースに市場が大きく動く可能性もあります。