デイリーマーケットコメントー中国恒大集団のリスク再燃、円上昇、米ドル安定推移

投稿日: 2021年10月21日19時23分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 傘下の不動産管理会社の売却の行き詰まりで中国恒大集団の株価下落、株式市場もリスクオフムード
  • FRBが早期利上げの可能性を否定し、国債利回りの上昇一服
  • 円回復、米ドル上昇、一方コモディティ通貨は下落

中国恒大集団のデフォルトリスク上昇で、株価下落

中国の不動産大手、中国恒大集団が、傘下の不動産管理会社の売却交渉に行き詰まり、株式市場では新たなパニックを懸念する動きが強まりました。米ドル建て社債利払いを控えた中国恒大集団にとって、債務不履行を回避させる為には、不動産管理会社の売却は不可欠と見なされていました。

30日間の猶予期間が今週末で終了する為、中国恒大集団は8350万ドルの利払いを翌週月曜日までに行う必要があります。デフォルトとなった場合、影響は中国の不動産業界全体だけでなく、建設業界にまでも波及するでしょう。世界市場への影響は不透明ですが、中国経済が既に一段の減速の兆しを見せている為、世界経済の今後の見通しに影を落としています。

中国恒大集団の株価は、直近で12.5%低下しています。しかしながら、香港ハンセン指数は、前セッションの安値から回復し、中国CSI300の終値は上昇しました。中国恒大集団の問題は解決していないもの、中国政府がデフォルト危機は深刻にならないと見解を示したため、現在の市場は落ち着きを取り戻しています。

株式市場はパニック売り、或いは利益確定売り?

欧州株式市場は下落してのスタートとなり、米主要株価先物指数も下落しましたが、緩やかな値下がりとなりました。新たな懸念材料が本日の市場ムードを後退させているものの、S&P 500の6日間連続の上昇の調整の動きもあるようです。ハイテク銘柄が多いナスダック指数の上昇は既に一服し、昨日の終値は下落しました。

中国恒大集団のデフォルト危機が深刻なダメージを市場に引き起こさない限り、米株高の流れは当面の間は継続するでしょう。民主党は、バイデン大統領の財政刺激案の最終合意に向けて動いています。社会政策への支出案の規模は、当初の提案の3.5兆ドルから大幅に縮小される公算が大きいですが、1兆ドル規模に削減されても、1.2兆ドル規模のインフラ計画と合わせると、経済成長スピードに鈍化が見られる米経済への十分な刺激策となるでしょう。

複数のFRBメンバーが利上げ時期はまだ先であるとの見解を示したことも、株価を下支えしているようです。昨日、クリーブランド連銀のメスター総裁、及びクォールズFRB副総裁が利上げの議論開始には時期尚早であるとの考えを明らかにしました。これを受けて、昨日に5か月ぶり高水準まで上昇した10年債利回りは、上昇が一服しました。

最近の米国、及び世界でのインフレ長期化への懸念を背景に、長期国債利回りが上昇しています。米5年ブレークイーブンインフレ率が2.9%まで上昇し、下落の兆しを見せていないことから、本日の利回り低下は一過性に過ぎないようです。

米ドルと円が上昇する一方で、コモディティ通貨は下落

市場でのリスクオフムードの強まりが安全資産の需要を増加させ、昨日の米ドルは、国債利回り低下にもかかわらず、上昇しました。安全資産の需要増加を背景に、円も上昇し、ドル/円は114円台を割り込みました。

ユーロとポンドも下落したものの、最も下げ幅が大きかったのは、コモディティ通貨でした。豪ドルとNZドルは、共に対米ドルで約0.35%下落しました。カナダドルは、原油高継続により、下げ幅は0.1%に留まりました。

今週の市場ムード改善、及び中央銀行による早期テーパリング観測を背景に、豪ドル、NZドル、及びカナダドルは対米ドルで数か月ぶり高値まで上昇していました。本日は、FRBメンバーの発言内容、及び米週次新規失業保険申請件数結果が今後の市場ムードの影響するでしょう。