デイリーマーケットコメントー石油備蓄放出決定にもかかわらず、原油高継続

投稿日: 2021年11月24日20時40分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 原油価格一段高、備蓄放出は解決策にならない模様
  • 米経済指標とFOMC議事録発表を控え、米ドルは比較的安定推移
  • 米ドルは強弱混合の動き、NZ中銀の決定に市場は落胆、トルコリラ急落

備蓄放出決定にもかかわらず、原油高継続

米政府は、エネルギー共有不足、及び価格高騰に対応する為、石油備蓄の市場放出を決定しました。複数の国も協調して石油備蓄の放出に踏み切る予定ですが、参加国の放出量は、米国単体での放出量を下回るでしょう。

米国の石油備蓄放出のニュースを受けて、原油価格は一段と上昇しました。5000万バレルは、世界経済が一日に必要とする原油量の半分にも満たず、微量に過ぎません。更に、OPECが増産に消極的になる可能性もあります。

したがって、世界経済が一日に必要とする原油量の半分を放出しても、根本的な解決策にはなりません。原油価格高騰の背景には慢性的な投資不足があり、解決には原油増産が必要でしょう。原油増産には、インセンティブとして長期的な原油高が必要になります。古い格言が示すように、「高い原油価格への解決策には、原油高」なのでしょう。

米政府のもう一つの対応策は、イランとの核協議合意により、経済制裁を緩和し、イランの原油輸出を再開させることでしょう。イランとの核協議は翌週より再開予定で、イランにとっては有利な展開となるでしょう。

外国為替市場は静かな動き、株価は強弱混合の動き

外国為替市場では、主要通貨ペアは比較的静かな動きとなり、米ドル高の流れが主流になっています。本日、ドル/円は数年ぶり高水準まで値を切り上げ、その後若干押し戻されました。ポンドは昨日に2年ぶり安値まで急落後、本日には回復しました。

本日には、米ドル高を試すリスク材料が複数予定されています。まず、FOMC議事録が発表され、テーパリングのペース加速の手がかりを掴む為、市場は注目するでしょう。米10月耐久財受注、米第3四半期GDP、及び米第3四半期コアPCEも発表されます。

国債利回り上昇により、株式市場は強弱混合の動きとなりました。主要株価先物指数は最高値付近を維持している一方で、脆弱な企業の株価は急落しています。投資家は質重視の動きを見せ、バリュエーションの高い銘柄のポジションを決済しているようです。明日からの感謝祭のホリデーを控え、流動性低下によって、ボラティリティが大きくなるでしょう。

NZ中銀の決定に市場は落胆、トルコリラは急落

ニュージーランド準備銀行は0.25%の利上げを決定したものの、市場は0.5%の利上げを期待していた為、NZドルは下落しました。

昨日、トルコリラは対米ドルで12%値下がりしました。トルコリラは今月に30%も値を切り下げたことになります。トルコのエルドアン大統領は、インフレ上昇に対応する為の利上げを拒んでいます。大統領の交代、或いは資本規制がない限り、トルコリラの回復は期待できないでしょう。