デイリーマーケットコメントー新たな変異株の出現で株価下落、円回復

投稿日: 2021年11月26日19時17分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • ワクチンが効かない恐れのある新たな変異株の出現で、市場は荒い動き
  • 株価、及びコモディティ通貨下落、円は回復
  • 以前にも同様な動きがあったものの、今回は困難となる可能性

新たな変異株の出現で株価下落

突然の新たな変異株の出現が金融市場を揺さぶりました。最も懸念されていることは、ワクチンが効かない可能性、及び激しい変異により感染力が高いことです。現在、十分なデータが揃っていない為、今後注視する必要があるでしょう。

当然ながら、市場はデータが十分に揃うまで待つことができません。投資家は、株式を売却し、債券を購入する動きを見せました。欧州株式市場は約3%低下し、米主要株価先物指数の動きから判断しますと、S&P 500は2%低下してのオープンを示しています。

最も打撃を受けたのは「リアルエコノミー」株で、ハイテク銘柄の多いナスダック指数は底堅く推移しています。国債利回り低下も、多数のハイテク銘柄が底堅く推移した要因となりました。

外国為替市場では、国債利回りの低下、及びキャリートレードの需要により、円が回復しました。一方、世界経済成長懸念により、豪ドルやNZドル等のコモディティ通貨が下落しました。

底値での買戻し戦略は有効?

以前にも同じような動きが見られました。新たな変異株の出現により市場のパニックが引き起こされ、中央銀行や政府の救済案により、「底値で買う」ことが必勝法になりました。

市場の流動性低下により、今回は市場が通常よりも大きく動いた可能性があります。翌週月曜に一段と悪いニュースの可能性がある場合、リスク資産を保有したまま週末を過ごしたい投資家はいないでしょう。

インフレが既に6%を超えている為、FRBによる対策が限られていることが実際のリスクです。テーパリングのペースは加速されず、翌年の利上げ観測から1回の利上げは排除されるでしょう。したがって、今までのようなFRBによる救済策は期待できない可能性があります。米ドルは方向性が定まらず、原油価格は下落しました。

国債利回り低下により金利差は縮小されましたが、リスクオフムードの中、米ドルは安全資産としての需要が増加しました。世界経済成長への懸念が強まる中、原油価格は大幅に下落しました。今週前半は、供給側の要因が原油相場を動かし、現在は需要側の要因が原油相場を動かしています。

希望の兆しは、翌週にOPECプラスの会合が予定されており、最近の動きは緩やかな増産を進める十分な理由になることです。緩やかな増産は原油価格を下支えしますが、実際には今後の需要状況が原油価格に最も大きな影響祖及ぼすでしょう。

本日は、米市場は早めの閉場となり、市場の関心は新たに出現した変異株に向けられるでしょう。GMT11:00に予定されているWHOの会合での見解が注目されます。