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パウエル議長はタカ派路線に変更
昨日、パウエルFRB議長はテーパリングのペース加速を検討すべきと発言し、市場を驚かせました。上院銀行委員会の公聴会において、パウエルFRB議長は、インフレリスクの強まり、及び前回のFOMC政策会合後に発表された経済指標では経済の一段の回復が見られたことを強調しました。
更に、パウエルFRB議長は、現時点ではオミクロン株は大きな懸念材料ではないとの見方を示し、資産購入プログラムを数か月前倒しして終了させることが適切であると明確に述べました。テーパリングのペース加速については、クラリダ副議長等の他の複数のFRBメンバーもパウエル議長と同様の見解を示しています。
今週の米雇用統計、及び翌週の米消費者物価指数から推測すると、今月半ばのFOMC政策会合において、テーパリングのペース加速が発表される公算が大きいでしょう。FOMC政策会合までは、市場は加速ペースがどれくらいになるかを推測するでしょう。
米ドルは下落
市場は素早く反応しました。FF金利先物は、翌年に2回の利上げを織り込んでいますが、6月の3度目の利上げの可能性も織り込みました。タカ派的反応は、短期国債利回りを急騰させました。一方で、FRBがテーパリングのペース加速を示唆したことにより、インフレ高進への懸念が緩和し、長期国債利回りは低下しました。
しかしながら、昨日の米ドルは一時上昇したものの、その後に下落に転じ、パウエル議長の発言による上昇幅を全て失い、下落して引けました。原油価格も下落した為、ユーロ回復、或いは月末のポジション整理が米ドル下落に繋がったのかは、不明です。
どちらの場合でも、ユーロ/ドルの長期的な見通しは、明るくはない模様です。欧州内での再度の規制強化により、経済成長の鈍化は回避できないでしょう。対照的に、米経済は力強く回復し、翌年3回の利上げも予想されています。
翌年には仏大統領選挙を控え、欧州の政治的リスクもあります。昨日、極右派のジャーナリスト、エリック・セムール氏が立候補を表明しました。世論調査ではマクロン大統領が優勢となっているものの、選挙に向けて差が縮小すると、ユーロのリスクも上昇するでしょう。
株価は荒い値動き、主要な経済指標発表
オミクロン株への懸念、及びFRBによるテーパリングのペース加速を背景に、ファンドマネージャーは、本年度の利益確定に動いているようです。最近の米株式市場は、荒い値動きが続いています。S&P 500は最高値より僅か3%下回る水準で推移しており、パニックの動きは見られません。
米株式市場は、ハイテク株に下支えされています。最近の米株式市場では、クオリティに向けて明確な方向転換がありました。成長株等が値下がりする一方で、アップル等の株価は上昇しています。
本日、市場のボラティリティを引き起こすイベントが複数あります。米11月ISM製造業PMI指数、及び米11月ADP全国雇用者数が発表されます。更に、下院銀行委員会の公聴会でのパウエルFRB議長の証言も予定され知恵ます。
エネルギー市場に関しては、OPECの会合が二日間の工程で開催されます。オミクロン株による需要鈍化、及び複数の国での石油備蓄放出を背景に、OPECが増産を維持停止される環境が整っています。その場合、原油価格が上昇するでしょう。