デイリーマーケットコメントー株価下落、米ドル安定、原油価格一段高

投稿日: 2022年1月18日19時30分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 市場は年内4回の利上げを織り込み、国債利回り上昇
  • 株価下落、米ドル回復、ゴールドは予想外に底堅く推移
  • 原油価格最高値更新、日銀の現状維持政策で円下落

利上げへの懸念で、株価下落

インフレ抑制の為、FRBが金融正常化を早いペースで進めるとの憶測が広がり、殆どの資産が上昇し、過去数週間の金融市場には大きな動きが見られました。賃金上昇スピードが加速し、米労働市場も堅調に回復しています。これを受けて、賃金上昇スパイラルへの懸念が強まり、年内4回の利上げ観測も上昇しています。

債券市場も反応し、国債利回りも一段と上昇しました。株式市場は地震が起きたような衝撃を受けました。政策金利が上昇すると、バリュエーションが高く、継続的なキャッシュフローが期待できない企業は打撃を受けます。

米10年債利回りはパンデミック前の水準を超え、昨日は世界的に株価が全面安となりました。ハイテク銘柄が中心のナスダック指数は急落し、米主要株価先物指数は1.5%下落してのオープンを示しています。

外国為替市場は慎重ムード、原油価格は最高値更新

リスクオフの流れは、外国為替市場にも波及しました。米国と他国との金利差の乖離により、米ドルは一段と上昇しました。一方、豪ドル等のコモディティ通貨は下落しました。

リスクオフムードにもかかわらず、円は下落しました。他国と日本との金利差の乖離に加えて、日銀が金融正常化を示唆しなかったことが、円安要因になりました。

一方、本日の原油価格は、7年ぶり高値まで一時急騰しました。中東情勢が新たに緊迫し、オミクロン株はパンデミック終焉の始まりとの期待が広がった為、原油価格を押し上げました。

カナダドル上昇、ゴールドは底堅く推移

原油価格上昇を背景に、過去数週間のカナダドルも大きく上昇しています。インフレ抑制の為、翌週に控えたカナダ中央銀行の政策会合での利上げ観測も、カナドル高の要因となりました。カナダ経済の急速な回復により、今月の利上げの可能性は80%まで上昇しています。カナダ中央銀行の最新のガイドラインでは、今年最初の利上げは4月となっています。

不十分な賃金上昇、及び感染拡大による規制強化への経済的影響を考慮すると、今月の利上げは時期尚早の可能性があります。したがって、翌週の利上げ期待によるカナダドル上昇には、注意が必要でしょう。明日には、カナダ12月消費者物価指数が発表される為、今後の見通しが一段と明らかになるでしょう。

最近のネガティブな要因にもかかわらず、ゴールドは底堅く推移しています。名目、及び実質利回りの上昇にもかかわらず、ゴールドは狭いレンジ幅内で底堅く推移しています。利上げ観測、及び国債利回りの一段の上昇がゴールド下落に繋がらない場合、ゴールドのネガティブな要因は、既に市場に織り込み済みとなっている可能性があります。