デイリーマーケットコメントー世界の国債利回り上昇で円安加速

投稿日: 2022年4月18日19時36分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 日銀の円安牽制発言にもかかわらず、円安継続
  • 国債利回り上昇で株価下落、中国GDPは懸念材料
  • 予想外にゴールドは上昇‐ゴールドの購入者は誰?

円安加速

本日の円は全面安となりました。世界中の中央銀行がインフレ抑制の為に利上げをする中、日銀は利上げを実施する予定はありません。日消費者物価指数は前年同月比1%付近で推移している為、現状では日銀がインフレに対応する必要はありません。

本日、日銀の黒田総裁は急速な円安は経済活動にネガティブな影響を与える見解を示しました。世界の国債利回り上昇により、本日の円は対米ドルで20年ぶり安値まで急落しました。

日銀による為替介入への観測も広がっています。しかしながら、インフレに直面する米国と欧州が自国通貨安に賛成することはない為、日本は独自で為替介入を実施する必要があり、日本政府は無秩序な円安とは見なしていない為、為替介入の公算は小さいでしょう。

日銀はイールドカーブコントロールを緩和させ、日国債利回りが上昇するまで、円安のトレンドは継続するでしょう。今年の夏、或いは秋までには、世界の国債利回り上昇が一段の上昇により、日銀のイールドカーブコントロール維持は一段と困難になるでしょう。

米ドル上昇、株価下落

外国為替市場では、FRBによる積極的な利上げ観測を背景に、米ドルが全面高となりました。米国債利回りの上昇は継続し、本日、米10年債利回りは2018年以来初めて2.86%越えを達成しました。

この動きは、株式のようなリスク資産には不吉な前兆となります。利回り上昇は、株式のバリュエーション上昇を抑制します。国債の利回りが上昇すると、株式よりも債券の魅力が上昇します。その結果、本日の米株式市場は下落してオープンする予定です。

債券市場の混乱、及び米企業の四半期決算が本格的にスタートする中、今週の市場は荒い値動きが継続するでしょう。本日は、欧州の殆どの市場がイースター休暇による祝日となっています。

予想外にゴールド高継続

コモディティ市場では、予想外にゴールド高が継続しています。米ドル高、及び国債利回り上昇にもかかわらず、ゴールドは最高値付近に向けて上昇しています。通常、米ドル高、及び国債利回り上昇時には、ゴールドが下落する傾向があります。

 

安全資産への需要がゴールドの需要を支えている可能性、或いは一部の中央銀行がゴールド買いのチャンスと見なしてゴールドを購入している可能性があります。ロシア中央銀行への経済制裁により、危機時では外貨よりもゴールドの優位性が浮き彫りとなりました。ゴールドの次の心理的レジスタンスは、2000ドルになるでしょう。

本日に発表された中国第1四半期GDPでは、堅調な輸出に支えられ、底堅い結果となりました。ロックダウンは、小売売上高に主に影響したようです。

株式市場でのリスクオフムードに加えて、中国第1四半期GDPの結果が本日の豪ドルとNZドルの下落に繋がったようです。中国経済によるネガティブな影響が波及した場合、オーストラリアとニュージーランドの利上げが困難になる可能性もあります。