デイリーマーケットコメントーインフレピークアウト期待で、市場のムード改善

投稿日: 2022年5月11日19時50分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米消費者物価指数発表控え、インフレピークアウト見極めの為、米ドル下落
  • ECBの利上げ観測でユーロ上昇
  • 中国の新規感染者数減少で、株価は緩やかに回復

米消費者物価指数発表控え、米ドル下落

本日に米4月消費者物価指数発表を控え、市場は慎重ながらも楽観ムードを維持しています。数か月間のインフレ高騰後、今回はインフレピークアウトへの期待も上昇しています。前回結果は前年同月比8.5%増となり、41年ぶりの上昇を記録しました。今回は若干低下した前年同月比8.1%増が予想されています。

前回結果からもインフレのピークアウトの兆しが若干見られることから、ピークアウト間近の観測が上昇しています。しかしながら、FRBの利上げ路線変更の兆しはなく、市場の利上げ観測が若干後退するに過ぎないでしょう。

インフレのピークアウトが市場が求めている希望の兆しかどうかに注目が集まります。FRBの金融引き締めは、サプライチェーンの混乱、及びコモディティ価格の影響によるインフレ上昇を抑制するに過ぎません。インフレを目標の2%に戻すには、予想よりもかなり時間がかかるとの見方もあります。

物価上昇圧力が弱まった後も、国債利回り、及び米ドルが現在の高水準で推移する可能性もあります。しかしながら、本日の消費者物価指数の結果が予想を下回った場合、米ドル高の調整の動きがあるでしょう。

直近の米ドルインデックスは約0.3%低下し、今週月曜日に記録した20年ぶり高水準104.19付近で推移しています。一方の米10年債利回りは、欧州市場開始時には2.94%付近まで低下しました。

ECBの利上げ観測上昇でユーロ堅調推移

米ドル下落により、他の通貨が上昇しました。ユーロ/ドルは1.0570ドル付近まで回復し、ポンド/ドルは1.2350ドル越えを達成しました。しかしながら、大きく上昇した通貨は、豪ドルとNZドルで、約0.7%の値上がりとなりました。

リスクオフムードの後退、及びコモディティ価格上昇が、豪ドルとNZドルを押し上げました。しかしながら、カナダドルは原油価格上昇にもかかわらず、若干下落しました。ポンドは上昇に勢いはなく、米ドル下落がポンドの上昇に繋がったに過ぎないようです。

今月は米ドル高により他の主要通貨が下落する中、ユーロが底堅く推移していることは注目に値するでしょう。ECBのタカ派的姿勢により、過去10日間のユーロは堅調推移しています。

過去24時間において、複数のECBメンバーが7月利上げに言及しました。7月利上げ観測が上昇する中、ユーロ下落相場が転換する可能性があります。世界の中央銀行が利上げに向けて動く中、ユーロ圏の経済成長が注視されるでしょう。

中国の新規感染者数減少により、株価は一段の回復の見通し

昨日、バイデン大統領はホワイトハウスでの演説において、インフレ対応の為の米利上げを容認する姿勢を示しました。FRBメンバーは今後2回のFOMC政策会合での0.50%の利上げの必要性を明らかにしています。

世界の中央銀行による金融正常化への動きは、株価下落に繋がりました。昨日のS&P 500は、過去3回のセッションで初めて上昇して引けたものの、0.25%の上昇に留まりました。ナスダック指数は1%値上がりし、本日のEミニ先物指数も同様の上昇を示しています。

株安の流れが収束する兆しは見られませんが、中国政府はロックダウンを緩和した場合、リスクオンムードにより、株価は短期的に回復する可能性があります。

中国のCSI300は1.4%上昇し、二日連続での上昇となり、欧州株式市場も上昇しました。

米株価に関しては、四半期決算に注目が集まり、閉場後にはウォルトディズニーの決算が発表されます。