デイリーマーケットコメントー米消費者物価指数後の米ドル急騰、株価再度下落

投稿日: 2022年5月12日19時26分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米消費者物価指数が予想程低下しなかった為、米ドル再度上昇
  • 景気後退リスク上昇で、株価下落
  • 3GDPの脆弱な結果で、ポンドは最安値更新

インフレ長期化見通しで、米ドル急騰

インフレ高進に対応する為、FRBがより積極的な金融引き締めを実施するとの見方が広がり、昨日の米ドルは20年ぶり高値を更新しました。米4月消費者物価指数は、前年同月比8.3%増となり、市場予想を上回り、前回結果の前年同月比8.5%増を僅かに下回りました。コアの消費者物価指数も前年同月比6.2%増となり、予想程低下しなかったことから、インフレ長期化への懸念が強まりました。

4月のガソリン価格は大幅に下落したものの、食糧価格の高騰は継続し、航空チケット価格は18.6%値上がりしました。中古車、及び衣料品価格が下落に転じ、エネルギー価格に加えて、他の分野の価格もピークに達した兆しが見え始めています。しかしながら、今後数か月間において、インフレが一段と低下しても、当面の間、FRBが2%の目標を達成する公算は小さいでしょう。

米消費者物価指数の結果により、今後2回の政策会合における0.50%の利上げは一段と確実視されました。最近、FRBメンバーは大幅な利上げには消極的な姿勢を示しています。したがって、翌月の消費者物価指数でインフレ継続の兆しが見えると、0.75%の利上げ観測が再び上昇するでしょう。

日銀のハト派的姿勢にもかかわらず、安全資産の円上昇

米消費者物価指数の結果後、反射的に米ドルは上昇しました。その後、物価下落の兆しにより、米ドルは下落に転じましたが、すぐに再度上昇しました。

本日前半の米ドルインデックスは、104.43の高水準を更新し、米ドルは円を除く対主要通貨で上昇しました。ドル/円は128.50円まで下落しました。本日には、政策金利の差よりも、景気後退リスク上昇が材料視され、安全資産の円が上昇しました。

日銀は、現行政策の変更を示さないだけでなく、円安容認姿勢も見せています。インフレが長期化すると、景気後退リスクも上昇します。

景気後退リスクで、ユーロとポンド下落

英国では、景気後退リスクがポンドを押し下げ、本日のポンド/ドルは2年ぶり安値1.2178ドルを更新しました。英第1四半期GDPは前期比0.8%増となり、予想外に低下しました。

ユーロ圏経済も失速の兆しを見せています。しかしながら、最近になって慎重姿勢を見せ始めたイングランド銀行とは異なり、ECBの7月利上げ観測が上昇しています。今週のラガルドECB総裁の発言は、他のECBメンバーと同様にタカ派寄りとなる見通しです。

しかしながら、昨日のユーロ/ドルは急落し、5年以上ぶり安値1.0470ドルを更新しました。

豪ドル、及びNZドル等のリスク通貨は最も打撃を受け、対米ドルで約0.9%値下がりしました。

株価再び下落

昨日の米株価下落に加えて、インフレ高進への対応として、世界の中央銀行による積極的な金融引き締めへの懸念が本日の株価を下落させました。ハイテク銘柄中心のナスダック指数は3.2%値下がりし、S&P 500は1.7%値下がりし、終値は今年最安値を記録しました。

本日のEミニ先物指数は一段と下落し、欧州株価の上値を重くしました。

中央銀行の金融引き締め、及び中国のロックダウンに加えて、ロシア産天然ガスの欧州への供給、及び北アイルランドを巡る英国とEUの協議膠着等の新たなリスク材料により、市場の先行き不透明感が上昇しています。