デイリーマーケットコメントー米ドル回復、OPECのニュースで原油下落

投稿日: 2022年6月1日19時15分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • ユーロ/ドルは米国債利回り、及び株価の動きに引き続き反応
  • OPECは原油高を抑制、ゴールドは若干下落
  • カナダ中銀の政策発表、及び米経済指標発表に注目

一つの大きな流れ

過去数か月間、世界市場はインフレ上昇、及び景気後退リスクの二つの要因で動いています。この流れは債券市場から発生し、国債利回り上昇は外国為替市場、及び株式市場にも波及しました。

ユーロ/ドルの動きは、この2つの要因に大きく影響されています。最も流動性の高いユーロ/ドルは、強い関連性により、米株式市場と国債利回りの動きに反応します。ドル/円、ポンド/ドル、及びコモディティ通貨ペアも同様の動きとなっています。

当然ながら、通貨は、金利、及び市場ムードに常に反応します。重要なことは、通貨の動きは、一つの要因だけでは判断できないことです。通貨のトレンド予測には、国債利回り、及び株価の動きから判断する必要があり、国債利回りや株価はインフレや景気後退の可能性の影響を受けます。

したがって、ユーロ/ドルのトレンド転換と判断することは依然として困難です。欧州の経済見通しは米国よりも悪化しており、潜在的な物価上昇圧力は米国よりも弱いことから、今後1年間において、ECBがFRBと同様のペースで利上げを実施する公算は小さいでしょう。更に、世界的な流動性低下は株式市場の荒い値動きに繋がり、米ドル高の要因にもなります。

OPECのニュースで原油下落、ゴールドも下落

昨日、OPECがロシアの維持的な除外を検討していることが報じられ、原油価格が下落しました。このニュースは、OPEC会合が開始する数日前から報じられたことから、OPECは遂に増産に前向きになっているようです。

バイデン政権とサウジアラビアとの協議は、増産に繋がったようです。米国は交渉手段としてサウジアラビアに何を提供したのか、生産能力を最大限に使用している中、サウジアラビアはどのように増産できるのかに市場の関心が集まります。明日のOPEC会合は、非常に興味深い会合となるでしょう。

米ドルと国債利回り上昇を受けて、昨日のゴールドは急落し、200日平均を割り込みました。 FRBの利上げ一時停止等で米ドル、及び国債利回りの下落しない限り、ゴールド上昇は限定的となるでしょう。

カナダ中央銀行の政策発表、米経済指標発表に注目

本日には、カナダ中央銀行の政策会合が実施され、0.50%の利上げが完全に織り込まれています。したがって、カナダドルの動きは、声明文の内容、及び今後の利上げ方針次第となるでしょう。

過去5年で最低水準の失業率、底堅い個人消費、及び強い物価上昇圧力は、堅調なカナダ経済を裏付けています。したがって、カナダ中央銀行は楽観的見解を示す公算が大きいでしょう。唯一の懸念材料は労働市場の過熱で、住宅ローン上昇により、陰りが見え始めています。したがって、カナダ中央銀行が労働市場のリスクを強調するのは時期尚早かもしれません。

金曜日の米雇用統計発表を控え、米5月ADP全国雇用者数、及び米5月ISM製造業PMIに市場の注目が集まるでしょう。