デイリーマーケットコメントーFRBの利上げ方針で米ドル高、株価は下落

投稿日: 2022年6月14日20時40分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米利上げ方針見通しの調整で、市場は混乱の動き
  • S&P 500は下落相場に突入、仮想通貨急落、米ドル上昇
  • 市場でのパニックの動きにもかかわらず、ポジティブなニュースも

弱気相場突入

米消費者物価指数の強い結果は、年内後半での利上げペース鈍化への期待を後退させ、米利上げ見通しの調整、及びあらゆる市場での混乱に繋がりました。

市場予想は大幅に修正され、今週の0.75%の利上げの可能性は95%まで上昇しました。FRBの利上げペース加速観測が上昇する中、7月も同様に0.75%の利上げが予想されています。

株式市場は大打撃を受け、昨日のS&P 500は約4%下落し、下落相場に突入しました。米国債利回りは、数十年ぶり高水準まで急騰しました。一方で、ジャンク債、及び仮想通貨は急落しました。ゴールドも影響は回避できず、国債利回りの急騰の一方で、ゴールドは急落しました。

米ドルは唯一堅調推移した通貨

外国為替市場では、米ドルが唯一打撃を受けなかった通貨となりました。米国と他国の中央銀行の金利差の乖離、米ドルの基軸通貨とのして地位によるリスクオフ時の資金流入が、米ドル上昇に繋がったようです。米ドルは、魅力的な金利、及び安全資産とのして特徴を提供することにより、汎用性の高い通貨としての地位を維持しています。

一方で、他の主要通貨は下落しました。ユーロはエネルギー価格急騰により下落し、円は日銀の緩和政策維持で下落しています。ポンド、及び他のコモディティ通貨は、不安的な株式市場の動きに連動して動いています。

市場の混乱、及び景気後退の兆し拡大にもかかわらず、原油価格上昇が継続していることは注目に値します。リビア国内の権力闘争の長期化を背景に、新たな抗議活動が続く中、リビア政府はほぼ全ての油田の閉鎖、及び原油生産の停止を公表しました。これにより、原油の供給不足は一段と深刻化するでしょう。

大局的な流れ

現在の所、楽観的観測を維持することは難しい模様です。物価高が消費者を直撃し、住宅産業が住宅ローン利率の急騰に直面し、企業がコスト削減のための人員削減に着手し、FRBはインフレ抑制の為に一段と積極的な利上げを予定している中、市場がパニックに陥るのは当然の流れでしょう。

指標上では景気後退のサインが浮き彫りとなっており、ソフトランディングも難しくなりつつあります。市場の大半が悲観的になる一方で、楽観的になる複数の要因もあります。

歴史的に見て、FRBはトラブルの初期兆候で軌道修正する傾向があります。今月には、ドイツ、フランス、イタリアの首脳が和平調停の為に、ウクライナを訪問予定です。

FRBはインフレを抑制したい一方で、深刻な景気後退は回避したい考えです。FRBは米経済を危機に直面させるくらいなら、インフレ継続を選択するでしょう。ウクライナ戦争の緊張緩和は、エネルギー価格やインフレ上昇のスピード鈍化、及び積極的な利上げの必要性の後退に繋がるでしょう。