デイリーマーケットコメントーパウエル議長は景気後退リスクを認識、株価下落一服

投稿日: 2022年6月23日19時35分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • パウエル議長はインフレ上昇と景気後退リスクに言及、しかしながら株価は安定
  • PMI指数は景気後退リスクを浮き彫り、ユーロとポンド下落
  • 需要低下見通しで、原油価格は下落拡大、市場は供給低下に懐疑的

パウエル議長は景気後退リスクを認識

昨日の議会証言において、パウエル議長はインフレ上昇の抑制に努める姿勢を改めて明らかにしました。最近のFOMCメンバーの発言により、市場では0.75%の7月利上げの公算が大きいとの見なされているようです。

パウエル議長は明確なガイダンスの言及は避け、状況の応じて対応する姿勢を示しました。パウエル議長は1%の利上げの可能性を否定しなかった為、市場にはネガティブなニュースになるでしょう。

しかしながら、市場が最もサプライズした点は、パウエル議長が景気後退への懸念緩和に努めなかったことです。パウエル議長は、FRBが景気後退を意図的に引き起こすことはしないものの、景気後退が起きる可能性を認めました。

昨日の議会証言、及び最近のFOMCメンバーの発言内容を鑑みますと、FRBは積極的な利上げ方針を継続するでしょう。利上げが景気減速の繋がる可能性を上昇させますが、利上げのピークにも間もなく到達する希望もあります。11月以降、利上げペースの鈍化が予想されており、国債利回り低下に繋がっています。

パウエル議長の発言よりも、原油価格下落で株価下落

昨日の米株式市場は、景気後退リスクが材料視され、緩やかに下落して引けました。しかしながら、パニックの動きはありませんでした。

パウエル議長が景気後退のリスクを認めたことは、今後の経済指標結果が悪化した場合、利上げ方針を変更する可能性があると解釈されたようです。

エネルギー銘柄による株価下落がなければ、S&P 500は回復していたでしょう。

景気後退リスク上昇により、需要見通しが低下し、原油価格の下落が継続しています。しかしながら、ロシアが原油の輸出先を欧州からアジア、及び新興国に変更することができる為、供給低下に懐疑的な見方もあります。

昨日のWTI原油先物指数は、昨日の1か月ぶり安値から回復したものの、100ドル付近で推移しています。

米主要株価先物指数は横ばい推移となっており、本日は二日目となるパウエル議長の議会証言を控え、市場は慎重ムードとなっているようです。

欧州株式市場は、PMI指数の脆弱な結果にもかかわらず、前半の下げ幅を回復させました。

欧州PMI指数の脆弱な結果でユーロ下落、ポンドは若干回復

ユーロ圏6月総合PMI指数は、51.9まで悪化し、市場予想の54.0及び54.8を大きく下回りました。

物価上昇が消費者を直撃し、消費の冷え込みに繋がっているようです。同時に、原価の急騰の継続により、スタグフレーションリスクも上昇しています。

昨日には1.06ドル台まで上昇したユーロ/ドルは、経済指標結果を受けて、1.0480ドル付近まで下落しました。

一方、英6月PMI指数は市場予想を上回り、PMI総合指数は53.1で、堅調な結果となりました。経済指標の強い結果を受けて、ポンド/ドルは上昇したものの、1.22ドル台越えは達成できていません。

本日、英国では、2つの議席を巡って選挙が実施され、市場の関心を集めるでしょう。現在、2席共保守党が確保していますが、今回の選挙で2席共失った場合、ジョンソン政権にとって打撃となるでしょう。

市場のリスクオフムードを背景に、豪ドルは二日連続での下落となりました。一方の円は、二日連続で上昇し、最近の下落から回復しました。昨日に回復した米ドルは、本日には再び下落しました。