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景気後退懸念の緩和で株価回復
景気後退リスク、FRBや他の中央銀行による積極的な利上げへの懸念が継続しているにもかかわらず、市場のムードが緩やかに改善し始めました。現在の所、国債利回り低下が2年債利回りと10年債利回りの逆イールドの動きを若干後退させている為、一部の投資家が株式市場に戻って来ました。
最近の米国、及び欧州のPMI指数の脆弱な結果を受けて、市場は経済成長見通しを大幅に下方修正しました。本格的な景気後退はまだ確実になっていないものの、景気減速は回避できないとの見方が市場で広がっています。
昨日に発表されたFOMC議事録では、一部のFOMCメンバーによる経済成長への懸念を浮き彫りにしたものの、インフレ目標達成の為、大幅な利上げを検討していることが明らかになりました。
FOMC議事録発表後、国債利回りは上昇し、本日の10年債利回りは2.95%に接近しています。しかしながら、株価は上昇し、米主要株価先物指数も上昇しています。
昨日、S&P 500の終値は三日連続で上昇し、本日の欧州株価も上昇幅を拡大させています。本日に発表されたサムソンの上半期売上の好調な結果がハイテク銘柄の上昇に繋がり、株価回復の期待が上昇しました。
コモディティ価格の下落で、市場ムード改善
コモディティ価格の上昇一服も株価回復の一因となったようです。ロシアのウクライナ侵攻以来値上がりしてた小麦やコーンの価格が大幅に下落しました。特に小麦は、上昇幅の全てを失いました。一方、コロナ後の需要増加により上昇が継続していた銅価格は急騰し、景気後退懸念の強まりにより需要見通しが悪化する中、過去1か月間の供給不足が緩和しました。
昨日の原油価格も急落し、WTI原油先物指数、及びブレント原油先物指数は、6月の高値から約20%下落しました。本日の原油価格は若干安定推移していますが、WTI原油先物が100ドル台を割り込んだ為、短期的原油相場の見通しが悪化しました。
原油供給の改善の見通しがない為、大幅な下落はないでしょう。しかしながら、現在の所、インフレ、及び利上げが当初の予定よりも早期に終了する見通しにより、原油相場は大幅な調整の動きが見られます。
ユーロ安の流れで、米ドルインデックスが107越え
調整の動きは、ポンド、及びコモディティ通貨等のリスク通貨にも見られましたが、ユーロは殆ど回復していません。
ユーロ安の動きにより、米ドルインデックスは2002年12月以来初めて107を突破しました。景気後退懸念は、円の回復要因となったものの、本日の円は下落しました。
昨日のユーロ/ドルは、20年ぶり安値となる1.0160ドルまで下落しました。最近の天然ガス価格急騰、及びロシアからのエネルギー供給への懸念を受けて、ユーロ圏経済への悲観的な見方が市場で広がり、ECBの利上げ観測は大幅に後退しました。本日に発表される6月のECB政策会合の議事録は、ユーロを下支えする材料となるでしょう。
ジョンソン首相の辞任見通しで、ポンド上昇
昨日のポンドは、先行き不透明感によって下落したものの、政局の不透明感が解消される期待により、本日のポンドは回復しました。
ジョンソン首相の辞意表明により、ポンド/ドルは1.1994ドルまで急騰しました。市場は、物価上昇への対応、及びEUとの関係改善を新政権に期待しています。