デイリーマーケットコメントー米ドル全面高、円安継続、株高一服

投稿日: 2022年7月11日19時38分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計の強い結果は米利上げ観測の追い風、米ドル高継続
  • 日参議院選挙結果後、円は20年ぶり安値更新
  • 米企業の四半期決算発表控え、米主要株価先物指数は下落

米ドル全面高

世界市場のリスクムードは、インフレ、及び経済成長懸念の影響を引き続き大きく受けています。経済の明るいニュースは、インフレの長期化懸念を増幅させ、一方で経済の暗いニュースは景気後退リスクを増幅させます。しかしながら、米ドルはどちらの場合でも上昇する米ドル全面高の傾向になります。

しがたって、どのニュースでも米ドル高に繋がり、他の通貨は対米ドルで下落することになります。ユーロはエネルギー危機によって下落し、円は他国との政策金利の乖離によって下落しています。ポンド、及びコモディティ通貨は、リスクムードによって不安定な動きとなっています。

先週金曜日に発表された米雇用統計の予想外に強い結果は、経済成長懸念を若干緩和させました。米6月非農業部門雇用者数は、市場予想を大幅に上回る結果となりました。雇用統計は、現在より前の状況を反映する傾向がありますが、労働市場の堅調さにより、年内の利上げ観測の追い風となりました。

円は最安値更新

週末に日本で実施された参議院選挙では、自民党の圧勝となりました。これにより、岸田政権は安全保障強化に向けての前進に国民の信頼を得たことになります。

ドル/円は、選挙結果で自民党政権の継続が明らかになったことを受けて、ドル/円は24年ぶり高値となる137円台越えを一時達成しました。

日本国内のインフレ上昇と日銀の方向転換、景気後退リスクによる国債利回り低下かとエネルギー価格下落、そして通貨安による政府の為替介入等の3つの要因が円高に繋がる可能性があります。どの場合でも、円の下落トレンドのトンネルの先には、光が見え始めたようです。

米企業の四半期決算発表待ち

株式市場では、市場の関心は米利上げに向けられている為、株価回復の動きが鈍化したようです。本日の米主要株価先物指数は下落しています。今週、大手銀行の四半期決算発表でスタートする米企業の決算発表期間を控え、市場は慎重ムードとなっています。

S&P500全体の成長は前年比5%から6%増が予想されていますが、インフレ上昇を鑑みますと、達成は容易でしょう。市場の注目は、各企業が慎重姿勢を示し、年内の決算見通しを下方修正するかどうかに向けられるでしょう。より重要なことは、下方修正が現在の株価にどれくらい織り込まれているかになります。

その他のニュースでは、中国当局が買収などの案件開示を巡り独占禁止法に違反したとして、大手IT企業に罰金を科した為、中国のハイテク銘柄が一段と下落しました。

本日には、主要な経済指標の発表は予定されていませんが、今週は多数のイベントが控えています。米6月消費者物価指数発表は、米利上げ政策を見極める為、市場の注目を集めるでしょう。カナダ、及びニュージーランドの中央銀行が利上げを実施する見通しです。保守党が新たなリーダーを選出する必要がある為、英政治情勢にも注目が集まるでしょう。