デイリーマーケットコメントーリスクオフ再燃でユーロ/ドルはパリティ目前、株価は下落

投稿日: 2022年7月12日19時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • ユーロ/ドルはパリティを試す展開、他の主要通貨も対米ドルで下落
  • 中国のロックダウンを背景に、株価と原油価格下落
  • リスクオフムードにもかかわらずゴールドは一段安

ユーロドルはパリティ目前

世界市場でのリスクオフの流れが再度強まり、市場の資金は唯一のヘッジ先である米ドルに流れました。米利上げ、及び景気後退懸念が強まっても、米ドルは魅力的な利回り、及び安全資産としての需要により、上昇しています。

現在の所、米ドルに代わる資産はありません。ロシアによる欧州への天然ガスの供給停止を背景にエネルギー危機が深刻化する中、ユーロは急落し、貿易赤字の拡大だけでなく、経済成長の見通しを悪化させています。今月に入ってユーロ/ドルは4%以上下落し、40年ぶりにパリティを試す展開となっています。

ECBが利上げペースの加速、及びユーロの保護に消極的な中、ユーロ安を阻止する材料には期待ができません。ウクライナ情勢の良いニュース、或いは米インフレの十分な低下は、ユーロ相場反転に繋がる可能性がありますが、総じてユーロ/ドルの見通しは厳しいでしょう。ユーロ/ドルがパリティを下抜けた場合、次の主要なサポートラインは0.97ドルになるでしょう。

市場はリスクオフムード

安全資産として米ドル買いの流れが強まる中、特に世界のリスクムードに反応しやすい通貨に対して上昇しました。本日、世界経済の減速がコモディティ輸出に依存する経済に影響を与える懸念が広がり、豪ドルとNZドルは約2年ぶり安値を更新し、下落相場が再開しました。

ポンドも米ドル高による打撃を受けました。米ドル高、及び世界のリスクムードの影響を受ける要因となる英国の双子の赤字により、ポンドもパンデミック以来の最安値まで急落しました。双子の赤字により、過去3か月にポンドは90%以上に確率でS&P 500の動きに連動しています。

昨日のS&P 500は約1%下落し、米主要株価先物指数も同様の動きを見せています。中国の主要都市での部分的なロックダウンが再実施され、世界経済への懸念が強まる中、国債価格、コモディティ価格、及び株価も下落し、全ての市場がリスクオフムードとなっています。明日発表される米6月消費者物価指数、及び今週の米企業決算発表開始後の主要な中央銀行の政策に、市場は慎重姿勢を示しています。

ゴールドは下げ幅拡大

コモディティ市場では、ゴールドが下落しました。米ドル高、及び国債利回り上昇がゴールド価格の下落に繋がっています。

インフレ懸念は国債利回りを上昇させ、景気後退懸念は米ドルを上昇させる為、全てのニュースがゴールドの下落要因になっているようです。FRBが利上げを一時停止するまで、ゴールド安の流れが変わる公算は小さいでしょう。本日には、GMT17:00にイングランド銀行のベイリー総裁の発言が予定されていますが、その他には市場が注目する材料はないでしょう。