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FRBは慎重姿勢
市場で広く予想されていましたように、FRBは先月に続いて2回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切りました。パウエル議長は、政策金利は「中立」水準に達し、物価高と経済過熱の沈静化により、政策金利はより制限された範囲に入る必要性を明らかにしました。
つまり、FRBは利上げペースを落とす方針に切り替えました。パウエル議長は、今後の方針は経済指標結果次第で政策会合毎に決定する為、従来のようにフォワードガイダンスで方針を示さない考えを明らかにしました。パウエル議長の発言のトーンから、今後は大幅な利上げは実施されない可能性が浮上しました。
9月の0.75%の利上げ観測が大幅に後退し、ターミナルレートも下落した為、市場は素早く反応しました。米ドルは下落し、株価は上昇しました。ナスダック指数は米利上げ方針に最も敏感に反応し、過去2年で最大の上昇幅となる4%以上値上がりしました。
総じて、米経済の減速を背景に、FRBの利上げへの消極的姿勢を市場は感じ始めたようです。しかしながら、米ドル高の相場転換にはまだ繋がらない見通しです。その他の通貨がリスクに直面し、景気後退懸念によりFRBが利上げペースを落としても、安全資産の需要が米ドルを支えるでしょう。
ゴールドと円回復
FRBの積極的な利上げの可能性が後退し、米ドルと国債利回りが下落しました。一方で、今月に大きく下落していたゴールドは上昇に転じました。
米ドル、及び国債利回り下落の恩恵を受けて、円も回復しました。日銀のイールドカーブコントロール政策の維持、及びエネルギー価格高騰による貿易赤字拡大が継続する限り、相場転換と判断することは困難でしょう。
米第2四半期GDP、及び米企業の四半期決算に注目
本日、市場の最大の関心は、米第2四半期GDP・速報値に向けられます。市場予想は前年同月比0.5%増ですが、アトランタ連銀のGDPナウは前年同月比1.2%減を予想しています。アトランタ連銀のGDPナウの予想は比較的正確で、今回の予想も当たった場合、第2四半期も連続してマイナス成長となり、米経済はテクニカル上の景気後退に突入することになります。
底堅い需要と労働市場を理由に、米政府とパウエル議長は、経済は減速しているものの、景気後退ではないとの認識を示しています。どの方角から判断するにしても、経済減速は良いニュースではありません。しかしながら、FRBが利上げペースと一段と落とすと市場が判断した場合、経済減速は株式市場には良いニュースとなる可能性があります。
昨日、米メタ・プラットフォームが発表した四半期決算は脆弱な結果となりました。売上高は昨年よりも減少し、デジタル広告事業の圧迫により、見通し悪化も示されました。本日には、アップルとアマゾンの四半期決算が発表されます。株式市場全体への影響を鑑みると、市場の関心が集まるでしょう。