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地政学リスクで市場ムード後退
中国側の断固反対姿勢にもかかわらず、ペロシ下院議長の台湾訪問予定により、本日の市場ムードは後退しました。現在、ペロシ下院議長はアジアを歴訪中で、噂となっていた台湾訪問が確実となったのは、昨夜でした。これにより、米中関係の緊張が高まりました。
中国側の反発への懸念により、市場は反応しました。米株式市場の回復により、先週金曜日にはVIXボラティリティインデックスが3か月ぶり低水準となったばかりでした。本日には、VIXボラティリティインデックスが急騰しました。米主要株価先物指数が下落し、S&P 500の2セッション連続での下落が示されています。
本日には、AMD、ペイパル、スターバックス、及びキャタピラーの決算が発表されます。好調な結果となった場合には、米株価市場に繋がるでしょう。英石油大手BPが2021年決算の利益が8年ぶり高水準となったことを公表した為、英FTSE100の株価も上昇しました。欧州株式市場は、比較的静かな動きとなりました。
ペロシ下院議長の台湾訪問に市場が反応する可能性がありますが、中国側の反発は軍事力の誇示に留まる公算が大きいでしょう。昨日に発表されたPMI指数の脆弱な結果によって景気後退リスクが高まる中、中国側が米国からの輸入に新たな制限を課す可能性にも市場は反応しやすくなるでしょう。
円上昇、国債利回り低下で米ドル下落
世界の中央銀行による利上げペース鈍化により上昇を開始していた国債価格は、地政学リスク上昇を受けて、1か月半ぶり高水準まで急騰しました。6月中旬には3.50%付近だった米10年債利回りは、2.88%まで急落しました。
安全資産の需要増加を背景に、円は対主要通貨で上昇し、ドル/円は131円台を割り込みました。米経済減速の兆し、及びパウエル議長が利上げペースを落とす可能性示唆したことにより、米ドルは下落基調となっています。
日本国外の国債との金利差縮小により既に回復しつつある円は、リスクオフの流れにより、本日は大きく上昇しました。一方の米ドルは、対主要通貨で辛うじて上昇を維持しています。
米ドル安が阻止できるかは、本日のFRBメンバーの発言内容次第となるでしょう。本日には、シカゴ連銀のエバンス総裁、及びセントルイス連銀のブラード総裁の発言が予定されています。
昨日の米7月ISM製造業PMIでは、物価上昇圧力の鈍化が明らかとなった為、インフレ鈍化見通しに関する発言に市場の注目が集まるでしょう。
豪中銀の慎重姿勢で豪ドル下落
その他の通貨では、豪ドルとNZドルが大幅に下落しました。ユーロとポンドは、若干の下落に留まりました。
過去数週間、大きく上昇したポンドは、本日には下落に転じ、対米ドルで1.22ドルを試す展開となっています。木曜日のイングランド銀行の政策会合では、0.50%の利上げが予想されている為、ポンドを下支えする要因となるでしょう。
本日、オーストラリア準備銀行は0.50%の利上げを決定したものの、今後の大幅な利上げに積極的姿勢を示さなかった為、豪ドルは1.50%下落しました。オーストラリア準備銀行は、FRBと同様に先行き不透明感を理由に挙げ、今後の利上げ方針の明確なガイダンス提示は避けました。市場では、オーストラリア準備銀行の姿勢は、ハト派的方針への転換として解釈されました。