デイリーマーケットコメントーユーロドルはパリティ割れ、株価はFRBの方針に慎重姿勢

投稿日: 2022年8月23日18時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 欧州圏内のエネルギー危機深刻化でユーロドルはパリティ割れ
  • FRBの利上げへの積極的姿勢が予測される中、米ドル高継続
  • 国債利回り上昇野中、ハイテク銘柄の下落が牽引し、米株式市場は下落継続

ユーロドルはパリティ割れ

欧州内のエネルギー危機の深刻化、及びFRBによる積極的な利上げ姿勢への期待を背景に、ユーロ/ドルはパリティ割れとなり、20年ぶり安値を更新しました。

今月、ロシア側が主要パイプラインの三日間の閉鎖を発表後、欧州の天然ガス価格は最高値を更新し、現在も高騰が継続しています。この動きを受けて、既に供給不足の市場ではパニックになりました。現在の水準のエネルギー価格は、インフレに直面する欧州内の産業だけでなく、消費活動を打撃し、ECBが対応できない深刻な景気後退に繋がるでしょう。

ユーロ圏8月PMIは脆弱な結果となり、製造業の低迷が規模の大きなサービス業にも影響を及ぼしたことが浮き彫りとなりました。

先行き不透明感が強まる中、企業は新規受注、及び新規採用を削減している為、今後の経済成長にとってマイナス要因となるでしょう。

現在の状況では、ウクライナ紛争の停戦が実現しない限り、ユーロの見通しは改善しないでしょう。

米ドル全面高の流れ継続

最近のユーロ/ドルの動きの背景には、米ドル全面高の流れもあります。重要な経済指標の発表がない中、大きく上昇した米ドルは、今週後半のジャクソンホール会議を控え、ポジション調整の動きにより下落する可能性があります。

FRBメンバーの発言から、FRBは市場での翌年の利下げ観測に満足していないようです。利下げ観測は、国債利回りを低下させ、インフレ抑制を目指すFRBの方針にとってマイナス要因となります。したがって、パウエル議長が長期的な利上げ方針を強調する可能性が予測されています。

米ドル高の打撃を受けたもう一つの通貨はポンドでした。株式市場のリスクオフムードも影響し、ポンドは対米ドルで一時的にパンデミック後の最安値を更新しました。米株価の2か月間のリリーフラリーはポンド高には繋がらなかったものの、米株価下落はポンド安に繋がりました。したがって、ポンドは世界市場のリスクオンの流れよりも、リスクオフの流れにより敏感に反応するようです。

株価はFRBの方針に慎重姿勢

昨日の米株式市場は、再度下落しました。S&P 500は2%以上値下がりし、一般消費財、及びハイテク銘柄の下落が顕著でした。恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は急騰し、市場の不安上昇を示しています。

今回の株価下落の要因に繋がるニュースは見られなかったものの、国債利回り急騰がバリュエーションの高い株価を打撃し、最近のショートスクィーズの動きが減少したことが要因として考えられます。市場が注目するジャクソンホール会議では、FRBが利上げ方針を改めて強調する可能性があります。

本日は、米8月PMI指数、及び米7月新築住宅販売件数に市場の注目が集まるでしょう。市場はターミナルレートの動きを見極める為、両指標に注目するでしょう。