デイリーマーケットコメントー中国の追加景気対策で市場ムード改善

投稿日: 2022年8月25日19時02分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 中国政府は追加景気対策発表、米政府は学生ローン債務減免を発表
  • 国債利回り上昇にもかかわらず米ドル下落、コモディティ通貨回復
  • 株価は上昇したものの、ジャクソンホール会議を控え慎重姿勢継続

中国政府が追加景気対策を発表

中国政府による景気対策への積極的姿勢が好感され、本日の世界市場はリスクオンの流れとなりました。昨日、減速した景気をインフラ投資を通じて支援する為、中国政府はGDPの約1%の規模に相当する追加景気対策を発表しました。

中国経済は、あらゆる面で危機に直面しています。世界的に利上げが進む中、中国の不動産業界の債務危機は拡大し、ゼロコロナ政策は経済活動の重しとなり、前例のない干ばつは工場閉鎖に繋がっています。

中国に続き、米国も追加景気対策を発表しました。米政府は、学生ローン債務を一人当たり1万ドル減免する方針を明らかにしました。中間選挙まで3か月を切る中、若年層にアピールする狙いがあるようです。学生ローン債務の減免は、消費を活発化させ、経済成長懸念を払拭する効果が期待できます。

市場はリスクムードが改善

市場は、米国と中国の追加景気対策を好感し、株価、及び世界経済成長に敏感なコモディティ通貨が買い戻されました。

外国為替市場では、豪ドルとNZドルが最も恩恵を受けました。オーストラリアとニュージーランドは、コモディティ輸出における中国の需要への依存により、両国の通貨は中国市場の影響を大きく受けます。

資金が安全資産からリスク資産に移動した為、本日の米ドルは全面安となりました。ユーロ/ドルは、引き続きパリティ付近で推移しています。米ドル安、及び株式市場のリスクムード改善にもかかわらず、ポンドは下落基調を継続しました。最近のポンドは、ポジティブな要因よりも、ネガティブな要因に反応する傾向があるようです。

株価は一段と上昇

本日の株式市場は、全面的に株高の流れとなりました。香港市場は大きく上昇し、欧州市場は二日連続での上昇となりました。エヌビディアの低調な決算結果にもかかわらず、本日の米主要株価先物指数は、約1%上昇してのオープンとなるようです。

インフレ上昇見通しが継続する中、FRBがジャクソンホール会議を引き締め政策を改めて示す機会として使用すると市場は見なしています。しかしながら、現在の所は、新たに発表された景気対策が金融引き締めへの懸念を緩和させているようです。

総じて、現在の段階では、ハイリスク型の株価はあまり魅力的な投資先ではないようです。国債利回りの再度の上昇は、バリュエーションの高い銘柄を圧迫するでしょう。インフレを調整すると、S&P 500の実質の上昇はマイナスになります。更に、エネルギー危機に直面する欧州と、不動産業界のリスクを抱える中国からの需要増加は期待できません。

本日は、ECB政策会合の議事録、及び米第2四半期GDPに市場の注目が集まるでしょう。