デイリーマーケットコメントージャクソンホール会議控え、米ドル安定推移、株価上昇

投稿日: 2022年8月26日19時20分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 市場はパウエル議長のスピーチ待ち
  • 外国為替市場の反応は限定的、株価は一段と上昇
  • イランとの核合意協議の大詰めで原油価格下落、英政府はエネルギー価格上限引き上げ

パウエル議長のスピーチに注目

本日のメインイベントは、ジャクソンホール会議前のGMT14:00に予定されているパウエル議長のスピーチになります。ジャクソンホール会議前のスピーチは、政策変更の機会として利用されるようになっていることから、金融政策の方向性を見極める為、市場の大きな関心を集めています。

米企業景況観指数では需要鈍化の兆しが見られる為、米経済は減速局面に移行しつつある模様ですが、インフレは依然として高水準で推移している為、FRBの引き締め方針が継続しています。問題は、長期国債利回りがFRBの目標の4倍の水準となっているインフレの抑制を妨げていることです。

債券市場では、FRBは年内は利上げを継続し、翌年は景気後退により利下げを実施すると見なされています。市場観測が債券価格に反映し、長期国債利回りを押し下げ、引き締め政策によるインフレ抑制効果を半減させています。

そのため、最近のFRBメンバーは、経済が減速しても、インフレが十分に抑制されるまで利上げを継続する方針を強調しています。パウエル議長も同様の方針を強調し、利下げの可能性を後退させた場合、リスク資産の下落を引き起こし、米ドルは上昇するでしょう。

外国為替市場は静かな動き

パウエル議長の発言を控え、外国為替市場は静かな動きとなりました。主要通貨ペアはレンジ幅内の取引を継続し、ジャクソンホール会議が終了するまで、新たなポジションは控えているようです。今週のユーロ/ドルは、パリティ割れが継続しています。欧州の天然ガス価格は昨日も最高値を更新する中、パリティがレジスタンスラインとなっています。

欧州内のエネルギー不足が悪化する中、エネルギー危機は消費活動を直撃し、ガソリン価格高騰がインフレ上昇を悪化させる為、スタグフレーションへの懸念が強まっています。

英政府は、電気料金の上限の80%引き上げを公表し、翌年には一段の料金引き上げの見通しを明らかにしました。料金引き上げは広く予想されていたものの、経済見通し悪化に繋がり、ポンドは下落しました。

原油価格下落、米株価上昇

 イラン核合意の正常化に向けた協議が大詰めを迎える中、原油価格が若干下落しました。しかしながら、OPEC加盟国がイラン産原油供給に減産で対応する姿勢を示した為、原油価格は今週を上昇して終える模様です。

昨日の米株式市場は、回復しました。米国債利回り上昇、及び中国政府による追加景気対策が好感され、S&P 500は1.4%上昇しました。株式市場の今後の動きは、本日のパウエル議長の発言内容次第となるでしょう。大局的な流れとして、FRBが引き締め政策を進め、経済指標は脆弱な結果となり、企業の決算結果がインフレ水準に追い付いていない中、市場の流れが楽観的ムードに傾く公算は小さいでしょう。本日には、PCEコアデフレーターを含む経済指標発表にも市場の注目が集まるでしょう。