デイリーマーケットコメントーユーロはパリティ越えに向けて回復、株価安定推移

投稿日: 2022年8月30日18時46分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • ユーロ回復、ECBの大幅利上げの予想を背景にショートスクィーズの可能性拡大
  • 米主要株価先物指数上昇、しかしながら米株式市場の見通し悪化は継続
  • 8月消費者物価指数、及び米8月消費者信頼感指数に注目

ユーロはショートスクィーズの可能性?

FRBがインフレが十分に抑制されるまで高金利政策を継続する姿勢を示したことにより、今週は外国為替市場が大きく反応してスタートしました。日本国外の国債利回り急騰を受けて、金利差拡大が円を押し下げました。ポンドは株安の流れに反応し、下落しました。

EU当局が緊急介入、及び天然ガス市場の改革の意向を示したため、欧州の天然ガス先物が下落し、ユーロが回復しました。ユーロ/ドルは回復したものの、パリティを上回ることはできませんでした。

ECB側でも動きがありました。ECBの複数のメンバーが大幅な利上げの必要性を主張した為、翌週の0.75%利上げの可能性が浮上しました。最も重要なことは、ECBメンバーがユーロ安に懸念を示したことです。ユーロ安が進行すると、エネルギーの輸入コストが上昇し、経済成長鈍化、及びインフレ悪化に繋がります。

欧州内ではエネルギー危機に対応する動きが遂に見られ、翌週のECBによる大幅な利上げの可能性が浮上しています。ユーロのショートスクィーズの可能性も大きくなりつつあります。ユーロ/ドルが1.0350ドルまで上昇しても、下落基調は継続するでしょう。

株価安定

昨日も米株価は下落しました。パウエル議長が相場転換の期待を後退させた後、リスク資産手仕舞いの動きが加速し、ハイテク銘柄が中心のナスダック指数は1%値下がりしました。本日は、米主要株価先物指数が昨日の下落幅を解消し、上昇してのオープンを示している為、買戻しの動きが予想されます。

株式市場の見通しは依然として改善していません。FRBはインフレが抑制されるまで高金利を継続する予定です。今週のバランスシート縮小ペースは加速する見通しで、企業の決算結果はインフレ上昇ペースに追い付いていません。米経済指標結果に経済減速の兆しが見られる中、今後の企業決算も悪化するでしょう。

このような全てのリスクはまだ十分に反映されておらず、バリュエーションは高水準で推移しています。慎重なトレーダーも市場に戻りつつあることから、現在の所はレジスタンスラインも低下しています。市場は大局的な流れを把握する必要がありますが、危機が後退する毎に株価は上昇します。したがって、トレーダーは最適なエントリーポイントを見極めているようです。

原油価格、及び経済指標に注目

コモディティ市場では、昨日には原油価格が大幅に上昇しました。中東の政情不安により、供給懸念が浮上しました。イラクでのデモ隊と治安部隊との衝突、リビアでの武装組織の衝突、及びイランとの核協議延長等、中東情勢は不安定となっています。

明日に欧州8月消費者物価指数発表を控え、本日の独8月消費者物価指数には市場の注目が集まるでしょう。翌週のECBにより利上げ幅を見極める為、消費者物価指数は重要な指標になります。現在、0.50%と0.75%の利上げの可能性が拮抗しています。

本日には、米8月消費者信頼感指数も発表されます。消費者信頼感指数は最も重要な指標とは見なされていませんが、経済状況を反映する指標です。したがって、景気後退リスクを懸念するトレーダーの注目を集める可能性があります。