デイリーマーケットコメントー利上げ控えユーロ急騰、ポンドは物価高対策発表待ち

投稿日: 2022年9月8日19時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • ECB利上げを控え、米ドル高一服でユーロは一段高
  • トラス新首相の物価高対策への不安を背景に、ポンド安継続
  • 豪中銀のロウ総裁のハト派的見解で豪ドル下落、カナダ利上げでカナダドル上昇
  • 国債利回り低下、及び原油価格下落で、米株価は予想外に回復

ECB政策発表を控え、ユーロドルはパリティ付近で推移

エネルギー危機、及び金融引き締めが再び市場ムードを決める要因となったようです。本日には、ECB利上げ、パウエルFRB議長の発言、及びトラス英首相による物価高対策の公表等多数のリスクイベントが控えています。

リスクイベントを控え、昨日に対主要通貨で20年ぶり高水準まで上昇した米ドルは、本日には下落に転じました。国債利回り低下も米ドル下落の追い風となったようです。GMT12:15のECB利上げ発表では、0.75%の利上げが広く予想されている為、ユーロが上昇しました。

米ドル高一服、及びECBの金融引き締め予想により、ユーロ/ドルはパリティ越えを達成しました。

ECBが市場の予想通りの0.75%の利上げを実施し、今後数か月間の一段の利上げ方針を示しても、欧州全体がエネルギー危機に直面している状況下では、ユーロの上昇幅拡大はあまり期待できないでしょう。

ECBがエネルギー危機悪化に対応する姿勢を見せ、ガス価格の上限設定等の対策に合意した場合には、見通し改善への期待で、ユーロにとってポジティブな展開となるでしょう。

トラス内閣発足後、ポンド下落継続

ユーロが回復する一方で、新首相への不安を反映し、ポンドは1985年以来の最安値まで急落しました。英新内閣による物価高対策に注目が集まります。

本日、トラス英首相は、光熱費凍結、企業支援、及びフラッキング解禁等の計画を発表する模様です。物価高対策は1000億ポンド規模となる模様です。

短期的に光熱費が凍結されても、債務拡大、及びトラス首相が提案する減税により、長期的にはインフレ、及び一段の利上げに繋がる可能性があります。

昨日、トランス新首相の就任を受けて、ポンド/ドルは1.14ドル割れ付近まで下落しました。イングランド銀行は、今後の利上げペースを明確に示していないことから、市場の不透明感が上昇しています。

各中央銀行の見解で、豪ドル下落、カナダドル上昇

オーストラリア準備銀行のロウ総裁が利上げペース変更を示唆した後、豪ドルは下落に転じました。本日、ロウ総裁は緩やかな利上げの可能性が一段と強まったと発言しました。

一方、カナダドルは昨日の0.75%の利上げにより、上昇しました。カナダ中央銀行は、今後一段の上昇の可能性も示唆しました。

パウエル議長の発言控え、株価上昇

株式市場は、比較的静かな動きとなりました。昨日の米株価上昇後、本日の欧州株価とアジア株価は強弱混合の動きとなりました。アップル株価の新機種発表への反応は限定的だったものの、S&Pは1.8%上昇しました。

米10年債急落、及び原油価格下落も株高に繋がったようです。中国のロックダウン継続は原油需要見通しを鈍化させています。

過去数週間、9月の0.75%米利上げは市場で織り込まれています。昨日、ブレイナードFRB副議長は、タカ派的見解を改めて示しました。本日のパウエル議長の発言でも、同様の見解が示されるでしょう。