デイリーマーケットコメントーFRBのタカ派姿勢で株価下落、ポンド回復

投稿日: 2022年9月30日19時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • FRBの発言、及び米経済市場の強い結果で株価下落
  • ユーロとポンドが回復する一方で、米ドル一段安
  • ロシアはウクライナ4州を併合見通し、FRB副議長の発言に注目

米株価下落

波乱に富んだ世界市場の第2四半期も本日で終わります。FRBの大幅な利上げ継続により、経済のソフトランディングへの期待が消失し、金融市場は悪化しました。株価と国債が下落し、コモディティ価格も下落基調となる中、安全な逃避先はありません。

米経済指標の強い結果、及びFRBのインフレ抑制への強い決意により、昨日の株価は下げ幅を拡大させました。米国内の失業手当請求者数は低下していることから、労働市場は引き続き堅調推移する見通しです。

クリーブランド連銀総裁が景気後退によって利上げ方針を変更することはないと発言し、高金利政策維持を改めて示しました。FRBが利上げ継続方針を明確に示さない場合、市場が再び利下げを織り込む可能性があり、インフレ抑制が一段と困難になります。

FRBの大幅な利上げへの懸念、及び四半期末の米ドル買いにより、S&P 500は約2%下落しました。過去数か月間、アップルやテスラ等の大手企業の株価は最も大きな打撃を受けており、買戻しの動きもまだ見られません。

FX市場は回復の動き

外国為替市場では、今週の米ドルは上昇が一服しましたが、第3四半期を大幅な上昇で終了する見通しです。金利差拡大、安全資産の需要、及び米ドル以外に魅力的投資先がないことにより、今年に入って唯一米ドルが上昇しています。

第3四半期に大きく下落したユーロは、今週は回復しました。ドイツ政府による2000億ユーロのエネルギー対策、及びECBによるユーロ安阻止の動きにより、ユーロのファンダメンタルズに改善しています。しかしながら、経済指標結果が景気後退入りの兆しを示していることから、ユーロ安の転換は難しいでしょう。

一方、ポンドを取り巻く懸念も現在の所は緩和し、ポンドは最安値から回復しました。しかしながら、大局的な流れは変っていません。双子の赤字により、ポンドは世界のリスクムードの影響を受けています。過去1か月間のポンドとS&P 500は、93%まで上昇しています。

地政学リスクとFRBメンバーの発言に注目

本日には地政学リスクにも注目が集まります。GMT12:00には、プーチン大統領が国民投票結果を受けて、ウクライナ4州をロシアに併合する調印式に出席する予定です。

最近の市場ではウクライナ情勢への関心が低くなっていましたが、ウクライナ軍の動き、及びロシアの部分的動員令により戦争の長期化、及び激化も予想されます。

本日には、ユーロ圏9月消費者物価指数、及び米8月PCEコアデフレーターが発表されます。GMT13:00には、ブレイナード副議長の発言が予定されています。ブレイナード副議長もインフレ抑制のためにあらゆる手段で対応する姿勢を示した場合、株価の上値が重くなるでしょう。