デイリーマーケットコメントーOPECプラスへ減産量倍増、米経済指標の強い結果、NFPに注目

投稿日: 2022年10月6日19時26分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • OPECプラスはの減産量倍増による影響は限定的との見方で、原油上昇の勢い鈍化
  • 米経済指標の強い結果で米利上げペース鈍化期待後退、国債利回り再び上昇
  • 米雇用統計を控え市場は様子見ムード、米株価は回復

OPECプラスの減産決定で、冬のエネルギー問題への懸念上昇

昨日、原油価格を下支えする為、OPECプラスは3月のピークを30%以上上回る日量200万バレルの減産を決定しました。

予想の2倍の減産量となりましたが、日量200万バレル減産の報道を受けて、原油先物指数は大幅に上昇しました。減産量発表は、「噂で買って事実で売る」手法が最適となりました。

多数の産出国は、過去数か月間、生産能力の制限に直面している為、減産決定による実際の産出量への影響に市場は懐疑的な見方もあります。実質的な減産量は100万バレルになることが予想されている為、原油価格の上昇幅な拡大には繋がっていないようです。更に、50日平均線上のレジスタンスラインも影響しています。

世界各地でインフレが上昇する中、今回の減産決定は世界経済にとっては最悪のタイミングです。OPECプラスは、主要経済の減速による需要低下を減産理由として挙げていますが、多数の国では受け入れがたいでしょう。特に欧州は、天然ガスから原油に切り替えている為、需要見通しは不透明です。冬に向けた欧州の政策が効果を発揮するかは不透明な中、今回のOPECプラスの決定は、エネルギー市場の不透明感を上昇させることになりました。

9月の安値から15%上昇後、本日のWTI原油先物指数は横ばい推移となっています。

S&P 500の回復で株価上昇

エネルギー価格上昇見通し、及び最近の米経済指標の低調な結果による米利上げ方針変更への期待により、本日の株式市場は大幅に上昇しました。

昨日のS&P 500は前半の大幅な下落を回復し、僅か0.2%の下落で引けました。テスラ株の下落にもかかわらず、エネルギー株の値上がりが市場を牽引しました。ツイッター買収の資金調達の為、イーロン・マスク氏が自社株を一段と売却する可能性が懸念され、テスラ株が値下がりしました。

国債利回りの回復が株価の下落要因になりますが、本日の米主要株価先物指数は底堅く推移しています。欧州株価は概ね上昇しています。昨日に発表された米9月ADP全国雇用者数、及び米9月ISM非製造業PMIの堅調な結果により、米利上げペース鈍化期待は後退しました。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁、及びアトランタ連銀のボステック総裁の発言は、利上げ継続見通しを一段と強めました。

しかしながら、市場はFRBが予想よりも早くに政策変更を余儀なくされる見方が依然として残っています。金曜日の米雇用統計結果で米経済の現況を把握する為、一部のトレーダーは様子見の姿勢を維持しています。

米ドルは高値から下落、ユーロは横ばい推移、ポンド再び下落

昨日に下落した米ドルは、本日には対主要通貨で僅かに上昇しました。

景気後退懸念により、ユーロとポンドは下落が継続しています。独経済指標は一段と悪化し、欧州のロシアへの追加制裁により、ロシアが欧州への天然ガス供給を完全に停止する可能性も浮上しています。

GMT11:30のECB政策会合を控え、ユーロ/ドルは0.9885ドル付近で推移していました。一方のポンド/ドルは、1.13ドル台を割り込みました。

英トラス首相は、就任後初めて保守党大会で演説し、英国内の金融市場安定化、及び党内結束を訴えましたが、市場の反応は限定的でした。