デイリーマーケットコメントー米雇用統計発表を控え、米利上げ方針継続で米ドル堅調推移

投稿日: 2022年10月7日20時03分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計が発表される前に、FRBメンバー発言で米利上げペース鈍化期待後退
  • 株価が再び下落し、米ドルは1週間ぶり高値
  • ポンドは再度下落、ドル/円は145円台付近で推移

FRBのタカ派的姿勢で米雇用統計の影響低下見通し

本日、市場の関心は、米9月非農業部門雇用者数に向けられます。多数のアナリストは、2020年12月以来の最低水準を予想していますが、25万人増は依然としてFRBには高い水準と見なされる可能性があります。

今週、FRBメンバーはインフレが十分に抑制されるまで利上げを継続する強い決意を改めて示しました。新たにタカ派的姿勢を見せたのは、クックFRB理事、及びジェファーソン理事でした。しかしながら、FRBの利上げ継続方針を一段と強固にしたのは、昨日のクリーブランド連銀のメスター総裁とシカゴ連銀のエバンス総裁でした。メスター総裁は、2023年の利下げの可能性はないとの見方を示し、エバンス総裁は翌年春までの1.5%の追加利上げの必要性を示唆しました。

FRBが雇用よりもインフレ抑制を明確に優先する中、FF金利先物は中央銀行の政策を反映しつつあります。ターミナルレートは4.60%を若干下回る水準まで上昇し、11月の0.75%の利上げは約90%となっています。

国債利回りは、今週の初めの低水準から大きく回復しています。現在の所、米10年債利回りは3.85%付近で推移しています。

本日に発表される米9月非農業部門雇用者数が脆弱な結果となった場合でも、11月のFOMC政策会合まで国債利回りが大きく変化する公算は小さいでしょう。

ハイテク銘柄下落後、株式市場は米雇用統計に注目

FRBの利上げペース維持の姿勢を受けて、株価は下落しました。今月の株価は回復はしていませんが、パニック売りもありません。

昨日、S&P 500の終値は約1%下落し、ナスダック指数の終値は0.7%に留まりました。サムスン及びAMDが需要低下による減収見通しを明らかにした為、本日のハイテク銘柄は下落する見通しです。

欧州セッション開始時のEミニ先物指数は僅かな下落に留まっています。米雇用統計の脆弱な結果による回復の可能性が残されています。一方、米雇用統計が強い結果となった場合、米利上げへの警戒により、株価が一段と下落する余地があります。

米ドルは1週間ぶり高値更新後、若干下落

外国為替市場では、米ドルが昨夜の高値から下落しました。しかしながら、米ドルインデックスは、1週間ぶり高水準で推移しています。日銀の為替介入の可能性が浮上している為、株価と債券の動きには反応せず、米ドルは緩やかに下落しています。

昨日、ドル/円は一時145円台越えとなり、現在は下落しています。日9月外貨準備高が540億ドル低下したことから、ドル/円が上昇し、為替介入の可能性が浮上しました。

その他の主要通貨も、過去二日間の急落からの回復しつつあります。格付け会社フィッチ・レーティングスによる英長期国債の格付けの引き下げ、及びトラス政権の財政計画を受けて、ポンドは急落しました。本日のポンドは対米ドルで回復し、1.12ドルを試す展開となっています。

昨日に発表された9月ECB政策会合の議事録では、インフレ上昇による経済への懸念が明らかになり、ユーロは下落しました。本日のユーロ/ドルは、0.98ドル付近で安定推移しています。

カナダドルも、カナダ中央銀行のタカ派的姿勢で下落しました。昨日、カナダ中央銀行のマックレム総裁は、追加利上げの必要性を明確に示しました。カナダドルは対米ドルで1.37カナダドルまで値下がりしました。