デイリーマーケットコメントー米中間選挙を前にドルは補正モード、株価上昇準備へ

投稿日: 2022年11月8日19時37分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

米中間選挙の結果に注目集まる
・米ドル下落もあり得るが、長期的かは懐疑的
・株価はねじれ議会での上昇準備


民主党、下院で敗北か
昨日、米ドルは他主要外貨に対してやや下落気味でした。先週の雇用統計での失業率の緩やかな上昇、及びFRB高官4名が皆、12月の小幅な利上げ検討を発言をしたことに市場が反応したようです。
しかし米ドルは本日上昇しており、昨日の損失を少しながら取り戻しています。今週の米中間選挙を控え、少なくとも初期の結果がわかるまでは、ドルは静粛に取引されることになるでしょう。
世論調査などによると、共和党が下院で議席の半数を確保する可能性が高く、水曜日のアジアセッションには明らかになることでしょう。現在の所、上院は接戦の模様で、勝敗が明らかになるにはもう少し時間を要するでしょう。主要な州の選挙結果判明には時間がかかり、水曜日にもなんらかの結果が明確にされない可能性もあるようです。

選挙結果がドルへ大きく影響
米中間選挙結果によって、ねじれ議会や共和党は下院で勝利した場合、来年度の財政刺激策が通過する可能性は低く、経済成長の鈍化とインフレーションの軟化につながるでしょう。それにより、今後利上げ鈍化の可能性は高くなり、ドル売りが加速することも考えられます。
ドルの取引はかなり過密しているようです。それでも投資家には利益を固定し続け、より深い補正をするチャンスはあります。弱気市場への方向転換と判断するにはまだ時期早々といえます。世界の主要中央銀行がすでに利上げの鈍化を示唆しているものの、FRBのみがタカ派に固執する可能性もあります。更に、世界的な経済成長に懸念が高まるなか、米ドルは安全資産として再び復活することもあるでしょう。したがって、長期的かつ急速なドルの上昇の可能性は少ないにしても、緩やかなペースでのドル買いがないとは言えません。

株価はねじれ議会での上昇準備
米利上げペース鈍化期待を背景に米株価上昇が継続し、米主要株価指数はそれぞれ約1%値上がりしました。今週、大手ハイテク企業が大規模な人員削減を検討していることが報じられ、メタプラットフォームは6%以上値上がりし、株高を牽引しました。
中国のゼロコロナ政策緩和への期待も、リスクオンの流れを加速させました。先週末、中国の国家衛生局は厳格な規制継続の姿勢を明らかにしました。しかしながら、昨日の報道では、明確な期間を設定していないものの、中国政府が緩やかな出口政策に向けて動き始めていることが浮き彫りになりました。
木曜日の米10月消費者物価指数発表前に、米中間選挙結果の見通しが判明した場合、米中間選挙が米ドルと株価を動かす次の要因になるでしょう。今後数年間、膠着状態となった場合には、法人税引き上げが承認される公算は小さく、緩やかな米利上げペース期待で株式が買い戻されるでしょう。世界経済減速の新たな懸念を背景に、株価の一段の上昇は、全体的に下落相場での反発と見なされるでしょう。或いは、予想外に急速なインフレ上昇は、下落相場を引き起こす流れを作り出す可能性があります。