デイリーマーケットコメントー米中間選挙およびCPIの結果迫り、ドルがやや下落

投稿日: 2022年11月9日19時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米中間選挙結果でねじれ議会へ突入か
・ドル一段安もCPI結果待ち
・米株式市場は調整モード


共和党の下院優勢で米ドルはさらに下落

先日、米ドルが他の主要外貨に対してさらに下落しました。米中間選挙の投票結果と米10月消費者物価指数待ちの中、市場は米利上げ鈍化見通しを引き続き重要視しているようです。

FF金利先物では、来月のFRB会合で0.5%の利上げが67%に対し、0.75%の利上げが33%と、利上げのスローダウンが予期されています。先日まで市場はこの利上げ率に関して意見が分かれていました。しかしながら、米中間選挙の投票結果速報で共和党が少なくとも下院で過半数を取る可能性が現実味を帯び、大幅利上げの可能性が低くなりました。

ねじれ議会となると財政支援策の可能性が低くなり、経済成長の鈍化とインフレーションの緩和が予期されます。つまり、FRBの超大幅値上げの必要性が少なくなります。本日は米ドルも安定を取り戻しましたが、市場はねじれ議会を織り込んでいるため、米ドルの下落幅が限定的となるでしょう。次の焦点は木曜日に発表される米10月消費者物価指数の結果となるでしょう。

米ドルは消費者物価指数の発表待ち

現在のところ、木曜日の総合CPI 、コアCPI指数予想は共に下回っているため、FRBの積極的な利上げ緩和へと期待が高まっています。その場合、米ドルの調整が可能になるでしょうが、ドルが弱気傾向から反転するかは不透明です。世界の他の中央銀行が利上げ鈍化へ方針を示すなか、FRBがタカ派を固持する可能性もあります。中国からのゼロコロナ政策緩和に関してレポートが混沌している現在、ドルが安全資産として長期的な売りになる可能性は低いと言えるでしょう。

中国の政府関係者が厳格なゼロコロナ政策の一部緩和の可能性を示した翌日に、新規感染者急増により、広州の南部で新たなロックダウンが実施されたばかりです。

株価は引き続き調整モード

昨日の欧州、及び米株価上昇にもかかわらず、本日のアジア株価が概ね下落した背景には、中国の新たなロックダウンがあるようです。本日に発表された中国10月消費者物価指数の低下もアジア株価下落に繋がったようです。

ねじれ議会の見通しで、米株価は上昇を継続しています。ねじれ議会では、民主党よりもビジネス重視と見なされる共和党は、法人税引き上げ、及び規制強化等の法案に反対する公算が大きいでしょう。

明日に発表される米10月消費者物価指数が一段と低下した場合は、米利上げ鈍化ペース期待を背景に株価の買い圧力が強まるでしょう。特に数か月、及び数年先のキャッシュフローで計算される成長株にとっては、ポジティブな展開になります。世界経済減速の状況では、今回の株価上昇は全体的な下落相場での調整の動きと見なされるようです。

通常、安全資産と見なされるゴールドは、米中間選挙の動きに反応し、上昇しました。利上げはゴールドの下落要因になります。したがって、利下げ、及び国債利回り低下は、利回りが発生しない資産にとって有利になります。

米ドル一段安にもかかわらず、昨日の原油価格は3.5%以上値下がりし、本日も下落が継続しました。中国国内での新規感染者数増加による原油需要への影響が懸念された可能性があります。